杜松ねず)” の例文
ある時どこかの山の峡を石ころが滑りおちてはげ山の斜面を滑りはりえにしだと杜松ねずの乱れた茂みに落ち込んだとしても、また或るとき
漁師 (新字新仮名) / フィオナ・マクラウド(著)
そのとき杜松ねずがザワザワとうごして、えだえだが、まるでってよろこんでいるように、いたり、はなれたり、しました。
杜松ねず扁柏ひのき金松かさやまきや、花柏さわらや、そうして羅漢松おすとのろうなどが、鬱々蒼々と繁ってい、昼なお暗いところもあれば、カラッと開けて急に眼の下へ、耕地が見えるというような
剣侠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
杜松ねずの木の下に坐つて、ポオル叔父さんと三人の子供とは岡の上にす光の見えるのを待つてゐました。東の空が明るくなりかけて来ますと、星は色が青ざめて一つ一つ消えて行きます。
「あのひとのお嬢さんの杜松ねずさんと、巴里でおなじキャンプにいたんだが、横浜で焼けた幹さんの疎開先がわからないというから、探しあてるまで、しばらく、うちでお世話してあげたいと思って……」
野萩 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
とりんでってしまうと、杜松ねずまたもととおりになりましたが、手巾はんけちほねと一しょに何処どこへかえてしまいました。
木曽の五木と称されている、杜松ねず羅漢柏あすなろさわら落葉松からまつひのきなどが左右に茂っている。山腹の細道は歩きにくく、それに夕暮れでもあったので、気味悪くさえ思われた。
十二神貝十郎手柄話 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
月目つきめぎると、杜松ねずかたく、にくづいてましたが、おんなはただじっとしてました。七つきになると、おんな杜松ねずおとして、しきりにべました。