)” の例文
その広い座敷がただ一枚の絨毯じゅうたんで敷きつめられて、四角よすみだけがわずかばかりはなやかな織物の色とうために、薄暗く光っている。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
古い文学にある、「る」ということばからつけたもので、もちろん音で映丘えいきゅうと訓まれることは覚悟の上であった。
故郷七十年 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
川面かわもからりかえす陽のひかりが屋根舟の障子にチラチラとうごく。
後期の周美成と正に復た遥々相らす。
へやたか天井てんじやう比例ひれいしてひろさむかつた。いろかはつたたゝみいろふるはしらつて、むかし物語ものがたやうてゝゐた。其所そこすわつてゐる人々ひと/″\みな地味ぢみえた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
へやは高い天井てんじょうに比例して広くかつ寒かった。色の変った畳の色が古い柱とり合って、昔を物語るようにび果てていた。そこに坐っている人々も皆地味に見えた。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)