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さなえ
ふりがな文庫
“
早苗
(
さなえ
)” の例文
高等科の列の中から正や吉次や、小ツルや
早苗
(
さなえ
)
のうるんだまなざしが一心にこちらをみつめているのを知ったのは、壇をおりてからだった。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
信長がどう虚を衝いても、大介が命令一下に、貝が吹かれ太鼓が鳴ると、どんなに乱れていた兵も馬も、青田の
早苗
(
さなえ
)
のように、揃って並んだ。
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
跡取りの
謙之進
(
けんのしん
)
様——十歳になったばかりのを屋敷にのこし、十二歳のお嬢様
早苗
(
さなえ
)
様というのと、お腰元のお菊、それに用人の市太郎をつれて
銭形平次捕物控:138 第廿七吉
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
たゞ、所々植付けられたばかりの
早苗
(
さなえ
)
が、軽いほのぼのとした緑を、初夏の風の下に、漂わせているのであった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
田の形、畔の形など現然として、春は誰がなすともなく苗代の種を蒔き、夏は
早苗
(
さなえ
)
を植え渡し、秋はまた誰刈るともなく穂切れて茎が残るといっている。
地名の研究
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
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三階の部屋から、丘の松、小山田の
早苗
(
さなえ
)
の風、嶺越しの
青熒
(
せいけい
)
の麦野が眺められます。こゝはまた、それだけのもので、やはり所在なくて、宵寝をします。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「
早苗
(
さなえ
)
とる頃」で想い出すのは子供の頃に見た郷里の氏神の神田の田植の光景である。このときの晴れの
早乙女
(
さおとめ
)
には村中の娘達が揃いの紺の着物に赤帯、赤
襷
(
だすき
)
で出る。
五月の唯物観
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
「高田先生(
早苗
(
さなえ
)
)は、あたしを女のままで、女役にして、
団十郎
(
ししょう
)
の相手を
演
(
や
)
らせてくださろうとなさったのだったと、はじめて——始めて、わたしは気がついた。」
市川九女八
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
当時矢伏は、すでに刑死台にのぼっていて、遺族としては
早苗
(
さなえ
)
という一人娘がいるだけであった。
地虫
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
声とともに、静かに障子があいて顔を出したのを見ると、お蓮様づきの侍女、
早苗
(
さなえ
)
です。
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「いまはだめって申上げているでしょ、畑中の
早苗
(
さなえ
)
さまが待っているのよ」
燕(つばくろ)
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
おとうさまも、おかあさまも、妹の
早苗
(
さなえ
)
さんも、まだ小学生の弟の
壮二
(
そうじ
)
君も、大喜びでした。
下関
(
しものせき
)
で船をおりて、飛行機で帰ってくるというので、その日が待ちどおしくてしかたがありません。
怪人二十面相
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
おのがうたに
憂
(
う
)
さやなぐさむさみだれの雨の日ぐらし
早苗
(
さなえ
)
とるなり
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
早苗
(
さなえ
)
とる水うら/\と笠のうち
五百句
(新字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
岬組の生徒たちの真情にふれた思いで、ふと
涙
(
なみだ
)
ぐんだ先生も、最後の小夜奈良で、思わずふきだした。
早苗
(
さなえ
)
からだった。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
雪の上に畝を立てて、
薄
(
すすき
)
の穂や
藁
(
わら
)
などを
早苗
(
さなえ
)
に挿し、ああくたびれたと冗談をいう者もあれば、小苗打ちどうしたなどと小児らに戯れて、歌をうたいまた酒を飲んだ。
雪国の春
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
檢屍も
滯
(
とゞこほ
)
りなくすみましたが、
下手人
(
げしゆにん
)
は何んとしても擧がりません。その時家の中に居たのは、殺された市太郎の外には、女主人の浪乃と、小さい娘の
早苗
(
さなえ
)
と二人きり。
銭形平次捕物控:138 第廿七吉
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
早苗
(
さなえ
)
がやさしく風に吹かれているのを見に寄ったり、島田では作楽井の教えて呉れた川越しの蓮台を蔵している家を尋ねて、それを写生したりして、大井川の堤に出た。
東海道五十三次
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
道に立ち見てゐる人に
早苗
(
さなえ
)
とる
六百句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
これほどよわり、いたわられている彼女が、ふたたび教職にもどれたのは、かげに
早苗
(
さなえ
)
の
尽力
(
じんりょく
)
があったのだ。早苗はいま、
岬
(
みさき
)
の本村の母校にいた。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
検屍
(
けんし
)
も滞りなくすみましたが、
下手人
(
げしゅにん
)
は何としても挙がりません。そのとき家の中に居たのは、殺された市太郎の外には、女主人の浪乃と、小さい娘の
早苗
(
さなえ
)
と二人きり。
銭形平次捕物控:138 第廿七吉
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
早苗
(
さなえ
)
取る
手許
(
てもと
)
の水の
小揺
(
さゆれ
)
かな
五百句
(新字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
跡取の
謙之進
(
けんのしん
)
樣——十歳になつたばかりのを屋敷に殘し、十二歳のお孃樣
早苗
(
さなえ
)
樣といふのと、お腰元のお菊、それに用人の市太郎をつれて、根岸の御隱殿裏の貸家に籠つた——
不義
(
ふぎ
)
の
汚名
(
をめい
)
を
被
(
き
)
せられ
銭形平次捕物控:138 第廿七吉
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
“早苗”の意味
《名詞》
早苗(ソウビョウ、さなえ)
なわしろから田へ移しかえる頃の稲の苗。
(出典:Wiktionary)
早
常用漢字
小1
部首:⽇
6画
苗
常用漢字
中学
部首:⾋
8画
“早苗”で始まる語句
早苗田
早苗取
早苗振
早苗饗
早苗千秋