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よめぎみ
高島田の
前髮に
冷き
刃あり、
窓を
貫くは
簾なす
氷柱にこそ。カチリと
音して
折つて
透かしぬ。
人のもし
窺はば、いと
切めて
血を
迸らす
匕首とや
驚かん。
新婦は
唇に
含みて
微笑みぬ。
都なる
父母は
歸り
給ひぬ。
舅姑、
知らぬ
客許多あり。
附添ふ
侍女を
羞らひに
辭しつゝ、
新婦の
衣を
解くにつれ、
浴室颯と
白妙なす、
麗しき
身とともに、
山に、
町に、
廂に、
積れる
雪の
影も
映すなり。