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しばしば
果敢ない
煙草入の
叺の
中を
懸念するやうに
彼は
數次覗いた。
陰鬱な
狹い
小屋の
中で
覗く
叺の
底は
闇かつた。
僅かに
交つた
小さな
白い
銀貨が
見る
度に
彼の
心に
幾らかの
光を
與へた。
勘次の
家には
薪が
山のやうに
積まれてある。それが
彼等の
伴侶の
注目を
惹いた。それとはなしに
數次彼の
主人に
告げられた。
開墾地で
木を
焚いた
其灰をも
家に
運んだといふことまで
主人の
耳に
入つた。