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故智
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こち
ふりがな文庫
“
故智
(
こち
)” の例文
このさいの彼は、
桶狭間
(
おけはざま
)
の織田信長に似ている。いや信長は後代の人だから、
故智
(
こち
)
を
習
(
まな
)
んだものではない。義貞の天分だった。
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そこで余は隋帝の
故智
(
こち
)
に倣い、秀吉とか家康とか種々雑多の人物が国家のために殺生した
業報
(
ごっぽう
)
で、地獄に落ちおるのを救うためと称して、毎度一人一銭ずつの追福税を厳課し
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
おいらァ
泥棒猫
(
どろぼうねこ
)
のように、
垣根
(
かきね
)
の
外
(
そと
)
でうろうろしちゃァいねえからの。——それ
見
(
み
)
な。
鬼童丸
(
きどうまる
)
の
故智
(
こち
)
にならって、
牛
(
うし
)
の
生皮
(
なまかわ
)
じゃねえが、この
犬
(
いぬ
)
の
皮
(
かわ
)
を
被
(
かぶ
)
っての、
秋草城
(
あきくさじょう
)
での
籠城
(
ろうじょう
)
だ。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
かの
吉良
(
きら
)
邸の絵図面を盗まんとして四十七士中の第一の美男たる岡野金右衛門が、色仕掛の苦肉の策を用いて成功したという
故智
(
こち
)
にならい、美男と自称する君にその岡野の役を押しつけ
未帰還の友に
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
すると、あなたにできることは、たった一つしか残っていないわね。……斎藤の
故智
(
こち
)
にならって、あたしを無きものにする。そうすれば、あたしの全部の財産が夫であるあなたのものになる。
断崖
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
▼ もっと見る
豊臣家乗取りの方策などでも出来れば頼朝の
故智
(
こち
)
を習って
綺麗
(
きれい
)
にやりたかったであろうが、何と云っても両家対立の事情と朝廷武家対立の事情とは根本が違うので綺麗ごとというわけに行かない。
家康
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
だが、幕府もここへは大兵を当て、道には樹林を
伐
(
き
)
ッて仆すなどの万策もとっているので、ひよどり越えの
故智
(
こち
)
にも出られず
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
けれども友人の
舌鋒
(
ぜっぽう
)
は、いよいよ鋭く、周囲の情勢は、ついに追放令の一歩手前まで来ていたのである。この時にあたり、私は窮余の一策として、かの
安宅
(
あたか
)
の
関
(
せき
)
の
故智
(
こち
)
を思い浮べたのである。
服装に就いて
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「おそらく、生きての再会はなかろうが、玄蕃允も、おめおめは死なぬ所存でおざる。——たとえ一人となって、
予譲
(
よじょう
)
の
故智
(
こち
)
に
倣
(
なら
)
うまでも」
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
(何も、信長どのの
故智
(
こち
)
を
倣
(
なら
)
うではないが、危急の局面を決定づけるものは、ただ時間の問題だ。——自分の胸算によれば、たしかに、間にあう数字だし、ちょうど、海辺もまだ干潮時のはずである)
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
竹童
(
ちくどう
)
の
故智
(
こち
)
にならって、乗りすてた
鷲
(
わし
)
を、とある森のなかにかくし、じぶんはれいの、あけび
巻
(
まき
)
の山刀をひねくりまわして、意気ようようと城下
隠密組
(
おんみつぐみ
)
の
黒屋敷
(
くろやしき
)
、
菊池半助
(
きくちはんすけ
)
の
住居
(
すまい
)
をたずねあててきた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
高野
(
こうや
)
の尻押しの
故智
(
こち
)
に習って、老人は楽そうに押されてゆく。
鳴門秘帖:05 剣山の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“故智”の意味
《名詞》
先人が用いた知恵や知略。
(出典:Wiktionary)
故
常用漢字
小5
部首:⽁
9画
智
漢検準1級
部首:⽇
12画
“故”で始まる語句
故
故郷
故意
故里
故障
故事
故国
故人
故々
故実