)” の例文
もうめるかと思ったら最後にぽんとうしろへげてその上へっさりと尻餅を突いた。「君大丈夫かい」と主人さえ懸念けねんらしい顔をする。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
私は余りに自分を裸にし過ぎる。然しこれを書き抜かないと、私のこの拙い感想の筆はげ棄てられなければならない。本当は私も強い人になりたい。
惜みなく愛は奪う (新字新仮名) / 有島武郎(著)
と叫んで暫時我を忘れて茫然としたが、たちまち気を取り直して、側にげ棄てておいた自分の鉄砲を取り上げるや否や、駆け出そうとすると、何物にかつまずいてばったり仆れた。
月世界競争探検 (新字新仮名) / 押川春浪(著)
と母親は火鉢の布巾ふきんげ出す。けれども、お勢は手にだも触れず
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
毎日毎日板子一枚の下は地獄のような境界に身をげ出して、せっせと骨身を惜しまず働く姿はほんとうに悲壮だ。
生まれいずる悩み (新字新仮名) / 有島武郎(著)
しかるに彼方かなたあやしふねあへこの信號しんがうには應答こたへんともせず、たちまその甲板かんぱんからは、一導いちだう探海電燈サーチライトひかり閃々せん/\天空てんくうてらし、つゞいてサツとばかり、そのまばゆきひかり甲板かんぱんげるとともに、滊笛きてき一二せい