放心うつかり)” の例文
卯平うへいくぼんだしかめるやうにした。勘次かんじ放心うつかりした自分じぶんふところものうばはれたほど驚愕きやうがく不快ふくわいとのもつ卯平うへいとおつたとをた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
處へもツて來て、一日々々に嬌態しなを見せられるやうになツて行くのだから耐らぬ。周三がお房を詮議せんぎする眼は一日々々にゆるくなツた。そして放心うつかり其の事を忘れて了ツた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
「うむ」と勘次かんじはいひよどんだ。みなみ亭主ていしゆ理由わけさとることは出來できないのみでなく、のいひよどんだことを不審ふしんおもこゝろさへおこさぬほど放心うつかりいてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
にはへおりたにはとり欠伸あくびでもするやうに身體からだらしながら、放心うつかりしててまだらなかつたといふ容子ようすをしてのどいたほどくのがきこえた。何處どこいへにもあをけぶりひさしうてのぼつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)