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擣
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う
ふりがな文庫
“
擣
(
う
)” の例文
口に言えぬ内に燃え上る愛の炎……その炎を抱いているだけに、タンタンタンと
擣
(
う
)
つ砧の音は哀々切々たるものがあったであろうと思います。
謡曲と画題
(新字新仮名)
/
上村松園
(著)
雪が降ったり
歇
(
や
)
んだりして、年が暮れかかった。
奴
(
やっこ
)
も
婢
(
はしため
)
も外に出る
為事
(
しごと
)
を止めて、家の中で働くことになった。安寿は糸を
紡
(
つむ
)
ぐ。厨子王は藁を
擣
(
う
)
つ。
山椒大夫
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
摺
(
す
)
り染めや、
擣
(
う
)
ち染めの技術も、女たちの間には、目立たぬ進歩が年々にあったが、
浸
(
ひ
)
で染めの為の染料が、韓の
技工人
(
てびと
)
の影響から、途方もなく変化した。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
わかるのは女房が砧盤を出して衣を
擣
(
う
)
っているところへ、旅行から夫が帰って来たということだけである。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
絹を
擣
(
う
)
つ石の下を捜るに果してその家妻子以下の名簿一軸あり、生まれて一月にしかならぬ子の名はなし、韓生驚いて犬を
鞭
(
むちう
)
ち殺し、その肉を煮て
家僮
(
かどう
)
に食わせ
十二支考:09 犬に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
▼ もっと見る
堆肥
(
たいひ
)
製造には持て来いの季節、所謂
寒練
(
かんねり
)
である。夜永の
夜延
(
よな
)
べには、親子兄弟大きな
炉側
(
ろばた
)
でコト/\
藁
(
わら
)
を
擣
(
う
)
っては、俺ァ
幾括
(
いくぼ
)
だ
卿
(
おめえ
)
は
何足
(
なんぞく
)
かと競争しての
縄綯
(
なわな
)
い
草履
(
ぞうり
)
草鞋
(
わらじ
)
作り。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
菊五郎門下の「
菊葉会
(
きくようかい
)
」に、九条武子さんの作、四季のうちの「秋」に作曲したが、
長安一片
(
ちょうあんいっぺん
)
の月、
万戸
(
ばんこ
)
衣を
擣
(
う
)
つの声……の、あの有名な唐詩の意味をよく作曲しだして、これはまとまった
朱絃舎浜子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
砧
(
きぬた
)
に
擣
(
う
)
たれた布は、こうもあろうかとまで考えた。それほど正体なくきめつけられ
了
(
おわ
)
った状態を適当に形容するには、ぶちのめすと云う下等社会で用いる言葉が、ただ一つあるばかりである。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
二
重
(
ぢゆう
)
の
上手
(
かみて
)
につゞける一間の家體は
細工場
(
さいくば
)
にて、三方に
古
(
ふ
)
りたる
蒲簾
(
がますだれ
)
をおろせり。庭さきには秋草の花咲きたる垣に沿うて荒むしろを敷き、姉娘
桂
(
かつら
)
廿歳。妹娘
楓
(
かへで
)
、十八歳。相對して
紙砧
(
かみぎぬた
)
を
擣
(
う
)
つてゐる。
修禅寺物語
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
砧
擣
(
う
)
つ炎の情を内面にひそめている女を表現するには元禄の女のほうがいいと思ったからであります。
謡曲と画題
(新字新仮名)
/
上村松園
(著)
擣
(
う
)
っている。
修禅寺物語
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
げにや我が身の
憂
(
う
)
きままに、
古事
(
ふるごと
)
の思ひ出でられて候ぞや。
唐
(
もろこし
)
に蘇武といひし人、胡国とやらんに捨て置かれしに、故郷に
留
(
とど
)
め置きし妻や子、夜寒の寝覚を思ひやり、高楼に上つて砧を
擣
(
う
)
つ。
謡曲と画題
(新字新仮名)
/
上村松園
(著)
擣
漢検1級
部首:⼿
17画
“擣”を含む語句
擣屋
擣目
擣衣
擣衣砧上
曲擣
米擣
鐘擣男