提灯屋ちょうちんや)” の例文
旧字:提燈屋
画工 (あおりたる児の手を離るると同時に、大手を開いて)こうなりゃ凧絵だ、提灯屋ちょうちんやだ。そりゃ、しゃくるぞ、水むぞ、べっかっこだ。
紅玉 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「お玉坊がブラブラ病とは不思議だね。実はこちらでも若殿がブラブラ病。ブラとブラとの鉢合せでは提灯屋ちょうちんやの店へ颶風はやてが吹込んだ様なものだ」
悪因縁の怨 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
昔々、京の三条の提灯屋ちょうちんやへ提灯を買いに行きましたとさ、提灯を一張買って壱両小判を出しましたが、番頭さんがおつりを
大菩薩峠:40 山科の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
僕「どうなっているって……釣竿屋の石井さんにうちを売ったでしょう。あの石井さんのあるだけですね。ああ、それから提灯屋ちょうちんやもあった。……」
本所両国 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
前つぼのかた草履ぞうりさきすなって、一目散もくさんした伝吉でんきちは、提灯屋ちょうちんやかどまでると、ふと立停たちどまって小首こくびかしげた。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
町内氏神うじがみの祭礼も七五三の祝儀も、自由主義を迎える世には遠慮しなくてはならなくなる。心配は参詣さんけいをする氏子うじこよりも御幣ごへいを振る神主かんぬし提灯屋ちょうちんやのふところ都合であろう。
仮寐の夢 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
清らかにしなければならんのだが、あんまり清らかでねえことさ、これでその日を送る身の上、行灯あんどん提灯屋ちょうちんやるとぜにを取られるから僕が書いた、鍋の格好かっこうよろしくないが
傍らにまばらに置かれてある絵具皿やすずりや筆を思えば、それが糊口ここうをしのぐ貧しい業であったことが分る。丁度私たちの町々に、今も傘屋かさや提灯屋ちょうちんやが店先で売りつつ仕事を急いでいるのと同じである。
民芸四十年 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
画工 (あふりたるの手を離るゝと同時に、大手おおでひらいて)う成りや凧絵だ、提灯屋ちょうちんやだ。そりや、しやくるぞ、水むぞ、べつかつこだ。
紅玉 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)