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さしは
ふりがな文庫
“
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(
さしは
)” の例文
旧字:
挾
自分はその憐れな物語に対する同情よりも、こんな話をことさらにする兄の心持について、一種
厭
(
いや
)
な疑念を
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(
さしは
)
さんだ。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
今まで瑠璃子夫人を
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(
さしは
)
さんで、鞘当的な論戦の花が咲いたことは幾度となくあつたが、そんな時に、形もなく打ち負された方でも、こんなにまで取り擾したものは一人もなかつた。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
自白すると自分はこの問題を母ほど
細
(
こま
)
かく考えていなかった。したがってそんな疑いを
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(
さしは
)
さむ余地がなかった。あってもその原因が第一不審であった。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
今まで瑠璃子夫人を
挟
(
さしは
)
さんで、
鞘当
(
さやあて
)
的な論戦の花が咲いたことは幾度となくあったが、そんな時に、形もなく打ち負された方でも、こんなにまで取り
擾
(
みだ
)
したものは一人もなかった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
そりゃ当人の望み通りにした方が好うがすななどと云う縁談に関する
助言
(
じょごん
)
を耳に
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(
さしは
)
さむくらいなもので、面と向き合っては互に何も語らずに久しく過ぎた。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
やがて小六は自分の部屋へ
這入
(
はい
)
る。宗助は御米の
傍
(
そば
)
へ床を延べていつものごとく寝た。五六時間の
後
(
のち
)
冬の夜は
錐
(
きり
)
のような
霜
(
しも
)
を
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(
さしは
)
さんで、からりと明け渡った。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
あなた方は兄さんの将来について、とくに
明瞭
(
めいりょう
)
な知識を得たいと御望みになるかも知れませんが、予言者でない私は、未来に
喙
(
くちばし
)
を
挟
(
さしは
)
さむ資格を持っておりません。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼女はこの談話の進行中、ほとんど
一言
(
ひとこと
)
も口を
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(
さしは
)
さむ余地を与えられなかった。自然の勢い沈黙の謹聴者たるべき地位に立った彼女には批判の力ばかり多く働らいた。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その頃の
余
(
よ
)
は西洋の礼式というものを殆んど
心得
(
こころえ
)
なかったから、訪問時間などという観念を少しも
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(
さしは
)
さむ
気兼
(
きがね
)
なしに、時ならず先生を襲う
不作法
(
ぶさほう
)
を敢てして
憚
(
はば
)
からなかった。
博士問題とマードック先生と余
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
小蟇
(
ちいがま
)
はおとなしくって好いが、
大蟇
(
おおがま
)
は少し猛烈過ぎると云うのを聞くたびに、僕はあの叔父がどう千代子を観察しているのだろうと考えて、必ず彼の眼識に
疑
(
うたがい
)
を
挟
(
さしは
)
さみたくなる。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
能弁なる彼は我輩に一言の質問をも
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(
さしは
)
さましめざるほどの速度をもって弁じかけつつある。我輩は仕方がないから話しは分らぬものと
諦
(
あきら
)
めてペンの顔の
造作
(
ぞうさく
)
の吟味にとりかかった。
倫敦消息
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その時、早く行かんと間に合わないかも知れないからと電話口で
急
(
せ
)
いたので、看護婦は汽車で走る
途々
(
みちみち
)
も、もういけない頃ではなかろうかと、絶えず余の生命に疑いを
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(
さしは
)
さんでいた。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
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(
さしは
)
さむ洋卓に、
遮
(
さえぎ
)
らるる胸と胸を
対
(
むか
)
い合せて、春
鎖
(
とざ
)
す窓掛のうちに、世を、人を、争を、忘れたる姿である。
亡
(
な
)
き人の肖像は例に
因
(
よ
)
って、壁の上から、閑静なるこの母子を照らしている。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼女は
表向
(
おもてむき
)
それに対して
一言
(
いちごん
)
の非難を
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(
さしは
)
さむ余地がなかった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
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常用漢字
中学
部首:⼿
9画
“挟”を含む語句
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挟箱
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脇挟
挟箱担
物干挟
鳥毛挟箱
鬢挟
髱挟
身挟桃花坂
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前挟
物挟
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