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手練
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てだれ
ふりがな文庫
“
手練
(
てだれ
)” の例文
一あめ、さっと聞くおもい、なりも、ふりも、うっちゃった容子の
中
(
うち
)
に、争われぬ
手練
(
てだれ
)
が見えて、こっちは、
吻
(
ほっ
)
と息を
吐
(
つ
)
いた。……
開扉一妖帖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
第三番は小森蓮蔵——これもまた
手練
(
てだれ
)
なもので、同じように三枚の的を打ち砕いてしまいました。そうして同じような賞讃を受けました。
大菩薩峠:14 お銀様の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
なぜなら、小次郎に時間を許せば、彼も
手練
(
てだれ
)
の剣客だから、振りかぶった剣形の中から冷静をとりもどしてくるからである。
青春論
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
評判に違わぬ無双の
手練
(
てだれ
)
、今投げた鉄槌の凄じさは何んと云ったらよかろうか。……きゃつの笑いの恐ろしさを
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「まア/\待った」と声を掛ける途端に、また其の
他
(
た
)
の者が逃出そうと致しますから、
飛鳥
(
ひちょう
)
の如く
彼方
(
あなた
)
へ駈け
此方
(
こなた
)
に戻って一々引留める文治が
手練
(
てだれ
)
の
早業
(
はやわざ
)
に
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
▼ もっと見る
新生、馬生、龍生、小勝——みんな初代圓生門下の
逸足
(
いっそく
)
で、今は亡い得がたき
手練
(
てだれ
)
ばかりだった。
小説 円朝
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
それゆえ初心者には解せぬ、いうにいえぬうまみを出すことに苦心があったわけである。で、あれもこれもと知りつくした、一流の
手練
(
てだれ
)
の人たちがならいはじめてひろめた。
旧聞日本橋:18 神田附木店
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
「仲々
手練
(
てだれ
)
な事をやったもんですなあ」
二重心臓
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
さすが、
手練
(
てだれ
)
の
舊兵
(
ふるつはもの
)
も
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
魔法つかひの
手練
(
てだれ
)
かな。
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
ツカの根元までクラヤミの気配を狙って一刺しにできるのは相当の使い手でありましょう。剣術に
手練
(
てだれ
)
の者は泉山先生の同門、志道軒一人のようです
明治開化 安吾捕物:11 その十 冷笑鬼
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
と言いながら小森は、中黒の矢を一筋とって弓に
番
(
つが
)
えて、ねらいの形をして見せました。なるほど、よい形で、さすがに
手練
(
てだれ
)
の程も
偲
(
しの
)
ばれないことはありません。
大菩薩峠:14 お銀様の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
老人だから、楽屋で急病が起って、踊の
手練
(
てだれ
)
が、見真似の舞台を勤めたというので、よくおわかりになろうと思う。何、何、なぜ、それほどの
容色
(
きりょう
)
で、酒場へ出なかった。
木の子説法
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
こう云ったのは石渡三蔵で、上段の間からヒラリと下りると壁にかけてあった
赤樫
(
あかがし
)
の木剣、
手練
(
てだれ
)
が使えば真剣にも劣らず人の命を取るという
蛤刃
(
はまぐりば
)
の太長いのをグイと握って前へ出た。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
さすが、
手練
(
てだれ
)
の
旧兵
(
ふるつはもの
)
も
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
一揆の起つた松倉藩では領内に鳥銃の自由使用を許してゐたので、農民の中には鉄砲
手練
(
てだれ
)
の者が少くなかつた。
鉄砲
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
と扇をきりりと袖を直す、と
手練
(
てだれ
)
ぞ見ゆる、
自
(
おのず
)
から、衣紋の位に年
長
(
た
)
けて、瞳を定めたその
顔
(
かんばせ
)
。
硝子
(
がらす
)
戸越に月さして、霜の川浪
照添
(
てりそ
)
う
俤
(
おもかげ
)
。膝
立据
(
たてす
)
えた畳にも、
燭台
(
しょくだい
)
の花颯と流るる。
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「さては素晴らしい
手練
(
てだれ
)
と見える」仮面の城主は眼をひそめた。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
体格の均斉ととのい、
手練
(
てだれ
)
の手取り相撲。遠江灘オタケの重量も馬鹿力もその技術には歯が立たなかった。
明治開化 安吾捕物:20 その十九 乞食男爵
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
空
(
くう
)
を打たれて、
手練
(
てだれ
)
に得ものを落されたように——且つ器械を
検
(
しら
)
べようとする注意だと思ったように、ポカンと渡すと、引取るが
疾
(
はや
)
いか、ぞろりと
紅
(
くれない
)
の
褄
(
つま
)
を絞って小褄をきりきりと引上げた。
ピストルの使い方:――(前題――楊弓)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
手練
(
てだれ
)
の達人に会ふと首をチョン切られても、切られた気がしないとか元通り首が乗つかつて息をしたり喋つてゐるなどゝいふ痛快な思ひつきが、僕は無類の骨董を見るやうに大好きだ。
五月の詩
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
手
常用漢字
小1
部首:⼿
4画
練
常用漢字
小3
部首:⽷
14画
“手練”で始まる語句
手練手管
手練者
手練沈着