戦役せんえき)” の例文
大砲をうつとき、片脚かたあしをぷんとうしろへ挙げるふねは、この前のニダナトラの戦役せんえきでの負傷兵で、音がまだ脚の神経にひびくのです。
烏の北斗七星 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
おお、それは、この寒気かんきに、傷口きずぐちがおいたみになりはしませんか? わたしは、わか時分じぶんシベリア戦役せんえきにいったものです。
村へ帰った傷兵 (新字新仮名) / 小川未明(著)
明治三十七八年戦役せんえきのとき、旅順りょじゅんいくさにおいて、敵の砲台を爆破するため、こうした坑道こうどうを掘ったことがあるそうだ
未来の地下戦車長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
連戦連勝は、いかなる国の歴史、いかなる勇将の伝記においても、永続した戦役せんえきにはあり得ない。そのこれあるは勝敗の早く決する戦争にのみあるのである。孫子そんし
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
もう役所は午引ひるびけになっている。石田は馬に蹄鉄ていてつを打たせに遣ったので、司令部から引掛ひきがけに、紫川むらさきがわ左岸さがんの狭い道を常磐橋ときわばしの方へ歩いていると、戦役せんえき以来心安くしていた中野という男に逢った。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
かの西南戦役せんえきは、わたしの幼い頃のことで何んにも知らないが、絵草紙屋えぞうしやの店にいろいろの戦争絵のあったのを記憶している。いずれも三枚続きで、五銭くらい。また、そのころ流行はやった唄に
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
その頃でもちょっぴり残した薄いひげは、熊さんが、兵隊であった頃の記念であった。日清の戦役せんえきにも日露の戦役にも出征した勇士であって、片腕と足の負傷も、首山堡しゅざんぽの戦いに受けた負傷であった。
戦争雑記 (新字新仮名) / 徳永直(著)
むら源吉げんきちさんもシベリア戦役せんえきにいって、片腕かたうでをもがれたのだった。あの時分じぶん自分じぶんはまだ子供こどもだったので、源吉げんきちさんが不具かたわになってかえってくると、おそろしがったものだ。
村へ帰った傷兵 (新字新仮名) / 小川未明(著)
特務曹長「これはどの戦役せんえきでご受領なされたのでありますか。」
饑餓陣営:一幕 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)