むご)” の例文
新字:
あんなむごたらしい目に逢はせた、惡者を擧げて下さいますやうに。私はもう、喉笛のどぶえへ噛み付いてやりたいやうな心持になつて居ります
銭形平次捕物控:180 罠 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
うれはしきクレオパトラは今もこの物の爲に泣く、彼はその前より逃げつゝ、蛇によりてにはかなるむごき死をげき 七六—七八
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
何しにお前に當つけよう、この子が餘り分らぬと、お力の仕方が憎くらしさに思ひあまつて言つた事を、とツこに取つて出てゆけとまではむごう御座んす
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
銘々に文章を書かせてそれをいち/\手に取上げて讀んでは又片つ端からむごく斷り、後に圭一郎と、口髭を立派に刈込んだ金縁眼鏡の男と二人程殘つた。
業苦 (旧字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
五人ごにんのうちであまりものいりもしなかつたかはりに、智慧ちえのないざまをして、一番いちばんむごたのがこのひとです。
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
あの煙に咽んで仰向あふむけた顏の白さ、焔をはらつてふり亂れた髮の長さ、それから又見る間に火と變つて行く、櫻の唐衣の美しさ、——何と云ふむごたらしい景色でございましたらう。
地獄変 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
惡縁あくえんむごやぶれて宿怨しゅくゑんともうづむ。
到頭あんなむごたらしい殺しやうをし、井戸へ落ちて死んだと見せたが、萬一耳の中の疊針を見付けられても、藤六といふ奴は恐ろしく惡賢こいから
とツこにつててゆけとまではむご御座ござんす、うちためをおもへばこそらぬことひもする
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「誰があんなむごたらしいことをしたかわりませんが、どうか、敵を討つて下さい。お願ひでございます、親分」
相模屋に着くと大變だ『俺が居さへすればこんなむごい目に逢はせなかつた』