慈善じぜん)” の例文
なし中にはかせぎ人がわづらひてくふや喰ずの極貧者ごくひんものには持合せの金を何程いくらか與へ慈善じぜんの道を好むのも掛替かけがへの無き兩親に不幸を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
かえって高尚こうしょうらしくも聞こえるけれども、それは慈善じぜんをなすときか、友人を祝うときか、霊前れいぜんそなうるときのことで、事業のためには、金銭は単に無心無情の器械きかいである。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
「仕方ない。よかろう。何もかもみな慈善じぜんのためじゃ。承知した。証文を書きなさい。」
ひのきとひなげし (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
すべての文学者ぶんがくしや消費せうひする筆墨料ひつぼくれう徴収ちようしうすれば慈善じぜん病院びやうゐん三ツ四ツをつくる事けつしてかたきにあらず、すべての文学者ぶんがくしや喰潰くひつぶこめにく蓄積ちくせきすれば百度ひやくたび饑饉ききんきたるともさらおそるゝにらざるべく
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
や云ひ出たるものならんかと一時は思はれけれども又とく容子ようすを見らるゝに全くいつはりにもあらぬことをさとられこと慈善じぜんを第一に天下の爲下民の安全を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
以てつかひける故に一同こぞつて出精しゆつせいなし益々ます/\伊勢屋の暖簾のれんとみさかえければ其久八が赤心せきしんかんじて養父五兵衞もうまかはりし如く慈善じぜんの心をおこし昔しの行ひをはぢ己れは隱居して久八に家督かとく
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)