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愍然
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びんぜん
ふりがな文庫
“
愍然
(
びんぜん
)” の例文
最前から各〻の声音を通して、この国の学問を察するに、その低調、
愍然
(
びんぜん
)
たるものをおぼゆる。この観察はご不平であるや、如何に
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
助
(
たす
)
け
度
(
たき
)
一心に理も非もなく只々一生懸命に申立けるにぞ
越州殿
(
ゑつしうどの
)
には
何樣
(
なにさま
)
愍然
(
びんぜん
)
とは思はるれども
故意
(
わざ
)
と聲を
勵
(
はげ
)
まされて成程親の爲に一命を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
第一人者の位置をそれ以外の人に与えまいという強い援助をなされたのであったから、帝も
御心
(
みこころ
)
の中では
愍然
(
びんぜん
)
に思召しながら后に擬してお考えになることもなく
源氏物語:34 若菜(上)
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
譫言
(
たわごと
)
! 勝敗は時の運じゃ。昨日までは我が手にあって生殺与奪己がまま、
愍然
(
びんぜん
)
至極の汝らが、今日意外にも自由となりこの武者所鬼王丸を指揮せんとは片腹痛し。何を
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
進退
谷
(
きわ
)
まったので已むを得ず推参いたした訳で、老人を
愍然
(
びんぜん
)
と思召して御救助を何うか
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
▼ もっと見る
その
容子
(
ようす
)
はいかにも
愍然
(
びんぜん
)
でありました。
幕末維新懐古談:77 西町時代の弟子のこと
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
孔明は翌日、陣中の
檻房
(
かんぼう
)
から、
孟獲
(
もうかく
)
、
祝融
(
しゅくゆう
)
夫人、弟の
帯来
(
たいらい
)
、また孟優にいたるまでを、珠数つなぎにして曳き出し、
愍然
(
びんぜん
)
と打ちながめて
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
松五郎殿が其の
薪
(
まき
)
を
窃
(
ぬす
)
んで
焚
(
た
)
くような次第と云わざるべからざる義だから、恐入り奉る訳ではない、なれど
白刃
(
はくじん
)
を
揮
(
ふ
)
って
政府
(
かみ
)
お役人の
御
(
ご
)
集会を蒙むるような事に於ては
愍然
(
びんぜん
)
たる処の訳じゃア無いか
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
で、ひとり不安と
忿懣
(
ふんまん
)
にたえず、或る日、工事の場でふと、そのことを兄に洩らすと、正成は
愍然
(
びんぜん
)
と、弟の顔をみて言った。
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それを
愍然
(
びんぜん
)
に思ってくれたのか、
曾根
(
そね
)
の星ヶ岡茶寮のN君が、一日、自家用車でやって来て、きょうは京都をお見せしてあげましょうという。
随筆 宮本武蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
血から
醒
(
さ
)
めて、落着きをとり戻すと、角三郎は、死骸の弁馬を
愍然
(
びんぜん
)
と
嘲
(
あざ
)
むように、
俯
(
う
)
っ伏しているその
衣服
(
きもの
)
のすそで、刀の
血糊
(
のり
)
をふきながら呟いた。
御鷹
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
われわれ武門の
端
(
はし
)
くれだった者さえ、弱肉強食の
巷
(
ちまた
)
には
剋
(
か
)
てず、
落魄
(
らくはく
)
、
愍然
(
びんぜん
)
たる境界に追いやられ、いまは争闘の世に、まったく思い
断
(
た
)
っているのに。
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その折、貴公をいさめたのは、貴公のそうした
浅見
(
せんけん
)
を
誡
(
いまし
)
めたのだ。……今日、それを口実に、最後の一挙から逃げるとは余りに性根のない心底が見えすぎて、むしろ
愍然
(
びんぜん
)
を感じる。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
官兵衛は懐紙を以て杯のふちを拭い、村重の前に謹んで返しながら
素直
(
すなお
)
に答えた。けれど心のうちでは、その杯よりも心の狭い小器な人物よと、かえって村重の態度を
愍然
(
びんぜん
)
なものと見ていた。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
劉璋に対して
愍然
(
びんぜん
)
たるものを抱いているような眸である。
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
愍
漢検1級
部首:⼼
13画
然
常用漢字
小4
部首:⽕
12画
“愍然”で始まる語句
愍然想