こは)” の例文
勝手かつてばたらきの女子をんなども可笑をかしがりて、東京とうきやうおにところでもなきを、土地とちなれねばのやうにこはきものかと、美事みごと田舍ゐなかものにしてのけられぬ。
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
太郎は、いつもその視線が何故ともなく青光りを堪えてゐてこはく、何う答へたら母の機嫌を害はずに済むだらうか? と、本意なくも、そのことばかりが気に掛るばかりであつた。
サクラの花びら (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
それで、村の入口に入るや否や、吠えかかる痩犬を半分無意識にこはい顔をして睨み乍ら、ふやけた様な頭脳あたまを搾り、有らん限りの智慧と勇気を集中あつめて、「兎も角も、宿を見付けるこつた。」と決心した。
赤痢 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
お役人達をこはがらすのぢやないよ。
独楽園 (新字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
妹どもこはがりて腫れ物のやうに障るものなく、何事も言ふなりの通るに一段と我がまゝをつのらして、炬燵に兩足、醉ざめの水を水をと狼藉はこれに止めをさしぬ
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「何故夜になつたらいけないの、こはいの?」
黄昏の堤 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
書けと仰しやれば起證でも誓紙でもお好み次第さし上ませう、女夫めをとやくそくなどと言つても此方こちで破るよりは先方樣の性根なし、主人もちなら主人がこはく親もちなら親の言ひなり
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
朝冷あさすゞはいつしかぎてかげのあつくなるに、正太しようたさんまたばんによ、わたしりようへもあそびにおでな、燈籠とうろうながして、おさかなひますよ、いけはしなほつたればこはこといとてに立出たちいで美登利みどり姿すがた
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)