御前様ごぜんさま)” の例文
もう可恐おそろしく成りまして、夢中で駈出かけだしましたものですから、御前様ごぜんさまに、つい——あの、そして……御前様は、何時いつ御旅行さきから。
紅玉 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
御前様ごぜんさま、光悦屋敷とやらのことは、もう一ぺんよくお考えあそばしませ、大谷風呂の方は、どちらへ転びましても結構でございますがねえ」
「あっ。閣下じゃ。山県の御前様ごぜんさまじゃ。——どうぞこちらへ。さあどうぞ! お雪、お雪……。お雪はどこだえ!」
山県有朋の靴 (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)
たとえば、エー御前様ごぜんさま、明日のお天気は如何でしょうという類である。すると中座は御幣を頭の上でパッと振る。
木曾御岳の話 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
従者 (始めより領主の後方に謹んでたたずみいる、白髪、忠実質朴の風采、恐る恐る小さき声にて)御前様ごぜんさま
レモンの花の咲く丘へ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
そこらに宅の出入の車宿くるまやどがありましたが、その親方がいつも、「御前様ごぜんさまが、御前様が」といいますから、「御前様とは誰なの」と聞きましたら、「大乗寺の御前様でさあ」と
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
小姓「はい/\丁度御前様ごぜんさまもお屋敷でござります、暫くお控え下さいまし」
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
今は佐渡の大きなお寺に御前様ごぜんさまとして納まっておられるが、この暑中休みのころから同君の夫人は長女の栄子さんと、母御と、それに大阪なる兄さんの娘さんと、婦人連四人で東京へ来ておられた。
震災後記 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
男優E これはなこと……。御前様ごぜんさまは、大きくおうなづきになります。
職業(教訓劇) (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
御前様ごぜんさまはお美しい方だったね、殿様が知事様におなりになった時、御一所におたちになるので両国の店の前で、ちょいと御挨拶もうしあげた時見上げた事があるけれど、大きなお眼で、真っ黒なお髪に
御前様ごぜんさま、御前様——、只今帰りました」
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
薄 なおその上に、御前様ごぜんさま、おせ遊ばしておがまれます。柳よりもお優しい、すらすらと雨の刈萱かるかやを、おけ遊ばしたようにござります。
天守物語 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
富「おめえさまということは有りませんよ、御前様ごぜんさまと云いなさい」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
御前様ごぜんさま、ようこそ」
大菩薩峠:19 小名路の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
あはは、松蕈まつたけなんぞは正七位の御前様ごぜんさまだ。にしきしとねで、のほんとして、お姫様をながめておるだ。
茸の舞姫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
御前様ごぜんさま
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
お前にも恩をた私だから、訳は分ってる、こう見えても可愧はずかしいが、馬車に乗ったこともあるし、御前様ごぜんさま々々とかしこまられたこともあるが、おおきな声一つ出してお前にゃあ、用を言い付けたこともない。
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
侍女 御免遊ばして、御前様ごぜんさまわたくしは何にも存じません。
紅玉 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
初の烏 御前様ごぜんさま、あれ……
紅玉 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
初の烏 御前様ごぜんさま、あれ……
紅玉 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「まづ、御前様ごぜんさま。」
怪力 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
御前様ごぜんさま。」
茸の舞姫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)