延引えんいん)” の例文
実は忠通にもかねてその下心したごころがあったのであるが、自分のそばを手放すのが惜しさに、自然延引えんいんして今日こんにちまで打ち過ぎていたのである。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
蓄殖たくはえたる趣きを聞て羨敷うらやましく存じ私し夫婦も江戸へ出稼でかせたくは存じたれども外聞ぐわいぶんも惡く彼是延引えんいん致し居中金谷村に法會ほふゑありて九郎兵衞諸共もろとも里を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
第一番に薩摩の望む所はにもかくにもこの戦争をしばら延引えんいんしてもらいたいと云う注文なれども、その周旋をたれに頼むとう手掛りもなく当惑の折柄おりから
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
早速御礼おんれいかたがた御挨拶ごあいさつ可申上之もうしあぐべきの処、病気にかかり頃日来けいじつらい机に離れて横臥おうが致しをり候ひしため延引えんいん致候。
人々に答ふ (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
そのやうな面白さうな集りを妨げるには幾らかの勇氣がつた。しかし、私の用事は延引えんいん出來ないものだつた。それで私はイングラム孃の側に立つてゐた主人あるじに近づいて行つた。
乱麻らんまの状にて、余賊よぞく、容易に平定せず、さきに新田義貞からも、しきりな急使を受けておりますものの、いかにせん賊徒平定のはかりに、日夜、心をくだくのみで、遅々ちちと、延引えんいんいたしおりますこと
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
以て表の油屋あぶらや五兵衞の方へゆき番頭久兵衞にあひて流れの一件段々と延引えんいんに相成甚だ氣の毒千萬なり夫に付今日は右の品物を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
今度薩州の人が江戸に来て英人との談判に付き、黒幕の大久保市蔵おおくぼいちぞう取敢とりあえず清本卯三郎を頼み、かくにこの戦争をしばら延引えんいんして貰いたいと云う事を
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
それらの事情に妨げられて、今まで身請けを延引えんいんしていたのであったが、こうなると知ったらば半年まえに思い切って身請けをしてしまった方がしであった。それを悔んでももう遅い。
籠釣瓶 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
御帰洛、延引えんいんあらば
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
遊ばされんとのおもむきなれば主税之助初め御病中ごびやうちう御月代の儀は御延引えんいん遊ばし然るべしと申上らる中納言樣には長髮ちやうはつにて登城し將軍の御前へ出るは失敬しつけいなり我將軍をうやまはずんば誰か將軍を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)