カアテン)” の例文
かとも思ったが、どちらをながめても、何もらず、どこに窓らしい薄明りもさなければ、一間開放したはずの、カアテンそよぎも見えぬ。
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
厚きしとねの積れる雪と真白き上に、乱畳みだれたためる幾重いくへきぬいろどりを争ひつつ、あでなる姿をこころかずよこたはれるを、窓の日のカアテンとほして隠々ほのぼの照したる
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
神様が寺内首相のやうな小心者だつたら、そのコロツケの味付は乃公おれには相談が無かつたよと、禿頭とくとうカアテンのかげからのぞけて、一々お客に断つたかも知れない。
私は平生いつも引く寢臺のカアテンを引き忘れてゐた。そして窓の日除ひよけも下ろすのを忘れてゐた。
やや有りて彼はしどなくベットの上に起直りけるが、びんほつれしかしらかたぶけて、カアテンひまよりわづかに眺めらるる庭のおもに見るとしもなき目を遣りて、当所無あてどなく心の彷徨さまよあとを追ふなりき。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
削り立ての板には乾きの速い塗料を塗り、緑色のカアテンを引張つて眼に立たぬやうにした。
茶話:12 初出未詳 (新字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
削り立ての板には乾きの速い塗料を塗り、緑色のカアテンを引張って眼に立たぬようにした。
艸木虫魚 (新字新仮名) / 薄田泣菫(著)