“嬾”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ものう50.0%
もの16.7%
しどな16.7%
ものうく16.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
律詩の前聯に「逢迎到処忘為客。得失従来嬾問天。」〔逢迎到ル処客ルヲ忘レ/得失従来ヨリ天ニ問フニものうシ〕と言っているのを見れば
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
春の夜を淋しく交る白い糸を、あごの下に抜くもものうく、世のままに、人のままに、また取る年の積るままに捨てて吹かるるひげは小夜子の方に向いている。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
やや有りて彼はしどなくベットの上に起直りけるが、びんほつれしかしらかたぶけて、カアテンひまよりわづかに眺めらるる庭のおもに見るとしもなき目を遣りて、当所無あてどなく心の彷徨さまよあとを追ふなりき。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
違棚ちがいだなせまい上に、偉大な頭陀袋ずだぶくろえて、締括しめくくりのないひもをだらだらとものうくも垂らしたかたわらに、錬歯粉ねりはみがき白楊子しろようじが御早うと挨拶あいさつしている。立て切った障子しょうじ硝子ガラスを通して白い雨の糸が細長く光る。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)