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しどな
語句 | 割合 |
乱次 | 33.3% |
嬾 | 33.3% |
静無 | 33.3% |
込合へる人々の
面は皆赤うなりて、
白粉の
薄剥げたるあり、髪の
解れたるあり、
衣の
乱次く
着頽れたるあり。女は
粧ひ飾りたれば、取乱したるが
特に著るく見ゆるなり。
やや有りて彼は
嬾くベットの上に起直りけるが、
鬢の
縺れし
頭を
傾けて、
帷の
隙より
僅に眺めらるる庭の
面に見るとしもなき目を遣りて、
当所無く心の
彷徨ふ
蹤を追ふなりき。
彼の
階子を下り行くと
斉く貴婦人は再び
鏡を取りて、
葉越の面影を望みしが、一目見るより
漸含む涙に曇らされて、
忽ち
文色も分かずなりぬ。彼は
静無く椅子に
崩折れて、
縦まに泣乱したり。