差閊さしつかへ)” の例文
縦令たとひ石橋いしばしたゝいて理窟りくつひね頑固ぐわんことうことの如く、文学者ぶんがくしやもつ放埓はうらつ遊惰いうだ怠慢たいまん痴呆ちはう社会しやくわい穀潰ごくつぶ太平たいへい寄生虫きせいちうとなすも、かく文学者ぶんがくしや天下てんか最幸さいかう最福さいふくなる者たるにすこしも差閊さしつかへなし。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
これは、人の前で、殊に盛岡人の前では、ちと憚つて然るべき筋の考であるのだが、茲は何も本氣で云ふのでなくて、唯ついでに白状するのだから、別段差閊さしつかへもあるまい。考といふとかうだ。
葬列 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
さねば相成るまじ彦兵衞事病氣と云ひ大坂へ立歸る路金ろぎんにも差閊さしつかへるならんにより右五十兩の金は其方より六兵衞方へ勘定かんぢやう致して遣はせもし難澁なんじふ申に於ては此方に存寄ぞんじよりありと申渡されしかば委細ゐさいかしこまり奉つると返答に及びたり又質屋六兵衞其方儀は彦兵衞があづけ置たる質物しちもつたん盜物ぬすみものとなり取上し所今明白に相分り不正の品に之なき上は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
これは、人の前で、殊に盛岡人の前では、ちと憚つて然るべき筋の考であるのだが、ここは何も本気で云ふのでなくて、唯ついでに白状するのだから、別段差閊さしつかへもあるまい。考といふはかうだ。
葬列 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)