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左近
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さこん
ふりがな文庫
“
左近
(
さこん
)” の例文
「田中新兵衛……そうか、覚えておくことだ、あんなのが好んで暗殺をやる。去年、
四条磧
(
しじょうがわら
)
で九条家の島田
左近
(
さこん
)
を斬ったのも、まだ上らぬのじゃ」
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「わざわざあんな歌をお歌いになるほど赤い鼻の人もここにはいないでしょう。
左近
(
さこん
)
の命婦さんか
肥後
(
ひご
)
の
采女
(
うねめ
)
がいっしょだったのでしょうか、その時は」
源氏物語:06 末摘花
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
寛文
(
かんぶん
)
十年
陰暦
(
いんれき
)
十月の末、喜三郎は独り蘭袋に辞して、故郷熊本へ帰る旅程に
上
(
のぼ
)
った。彼の
振分
(
ふりわ
)
けの
行李
(
こうり
)
の中には、
求馬
(
もとめ
)
左近
(
さこん
)
甚太夫
(
じんだゆう
)
の三人の遺髪がはいっていた。
或敵打の話
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
夏川
左近
(
さこん
)
は久方ぶりで上京のついで古本あさりに神田へでた。そのときふと思いだしたのは
大竜
(
だいりゅう
)
出版社のことだ。終戦後の数年間、左近は密輸船に乗りこんでいた。
左近の怒り
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
藝者が歸つてから、客をほうつて置いて、左近の部屋へ行き、
左近
(
さこん
)
と二人で今まで眠つてゐたこと。
泡鳴五部作:04 断橋
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
▼ もっと見る
これが
左近
(
さこん
)
の桜、
右近
(
うこん
)
の
橘
(
たちばな
)
と、見て行くに従って、そこに、樟脳の匂いと一緒に、何とも古めかしく、物懐しい気持が漂って、昔物のきめの
濃
(
こま
)
やかな人形の肌が、いつとなく
人でなしの恋
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
緋羅紗
(
ひらしゃ
)
を掛けた床の雛段には、浅草の観音堂のような
紫宸殿
(
ししいでん
)
の
甍
(
いらか
)
が聳え、
内裏様
(
だいりさま
)
や五
人
(
にん
)
囃
(
ばや
)
しや官女が殿中に列んで、
左近
(
さこん
)
の桜
右近
(
うこん
)
の橘の下には、三人
上戸
(
じょうご
)
の
仕丁
(
じちょう
)
が酒を
煖
(
あたゝ
)
めて居る。
少年
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
内裏雛
(
だいりびな
)
、五人
囃
(
ばや
)
し、
左近
(
さこん
)
の桜、
右近
(
うこん
)
の
橘
(
たちばな
)
、
雪洞
(
ぼんぼり
)
、
屏風
(
びやうぶ
)
、
蒔絵
(
まきゑ
)
の道具、——もう一度この土蔵の中にさう云ふ物を飾つて見たい、——と申すのが心願でございました。
雛
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
兵衛はすでに
平太郎
(
へいたろう
)
一人の
敵
(
かたき
)
ではなく、
左近
(
さこん
)
の敵でもあれば、
求馬
(
もとめ
)
の敵でもあった。が、それよりも先にこの三年間、彼に幾多の艱難を
嘗
(
な
)
めさせた彼自身の
怨敵
(
おんてき
)
であった。
或敵打の話
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
左近
(
さこん
)
を打たせた三人の侍は、それからかれこれ二年間、
敵
(
かたき
)
兵衛
(
ひょうえ
)
の
行
(
ゆ
)
く
方
(
え
)
を探って、
五畿内
(
ごきない
)
から東海道をほとんど
隈
(
くま
)
なく遍歴した。が、兵衛の消息は、
杳
(
よう
)
として再び聞えなかった。
或敵打の話
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
左
常用漢字
小1
部首:⼯
5画
近
常用漢字
小2
部首:⾡
7画
“左近”で始まる語句
左近将監
左近衛
左近衛府
左近右衛門
左近一益
左近倉平
左近衛権
左近蔵人
左近権少将
左近衛少将