巡査まわり)” の例文
そのあとからポチが一所懸命吠えながら追っかけて行きますと、やがて泥棒は通りかかったお巡査まわりさんに捕まってしまいました。
犬と人形 (新字新仮名) / 夢野久作海若藍平(著)
「黙っといで。黙っといで」と泉太は父の言葉をさえぎるようにした。「節ちゃん、好いことがある。お巡査まわりさんと兵隊さんと何方どっちが強い?」
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「今日、これからすぐに駐在所へ誰かをやって下さい。そしてお巡査まわりさんに今晩からよく見廻りして貰うようにして下さい。」
田舎医師の子 (新字新仮名) / 相馬泰三(著)
「火事だ火事だといって表町の方へ駆出して行きましたっけ、しばらくすると角の交番のお巡査まわりさんが連れて戻りましたよ。」
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
……良人たくは、落魄おちぶれてこそいますけれど、決して、他人ひと様の物を盗むなんて、そんな大それた人間じゃないとお巡査まわりさんにも私から言いましたけれど
かんかん虫は唄う (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「花ちゃん花ちゃん、顎紐をかけたお巡査まわりさんがトラックで沢山やって来たよ。さア逃げよう、掴まっちゃ大変だ」
魔都 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「旦那様、あの、家の前にお巡査まわりさんが立番をしているんでございます」田舎から上京して間のない、少し頭脳あたまの働きの鈍い女中が、おどおどしながらいった。
秘められたる挿話 (新字新仮名) / 松本泰(著)
人のいお婆さんも、うちへ帰って売上げ高を、勘定かんじょうして見ると、お金が足りないので、私達に騙されるのに、気がついたのでしょう。そっと、交番のお巡査まわりさんに、言いつけたと見えます。
納豆合戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
ナニ伊之吉がちゃんとわきへ隠してあるのが知れませんは、不思議なもので、お取締りは随分厳重になって、コラお前のうちには同居人はおらんか、と戸籍調べのお巡査まわりさんはおいで遊ばしても
そのうちにチエ子さんは表へ出て、通りがかりのお巡査まわりさんにこの事を言いましたので、泥棒はすぐに縛られてしまいました。
虻のおれい (新字新仮名) / 夢野久作香倶土三鳥(著)
木刀お巡査まわりに任して、安心していられるもんかい。——やい、そこにいる女! てめえッちも、そうだぞ。
かんかん虫は唄う (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「後にも前にも、花が帰ってからお巡査まわりさんがやってくるまで、只の一度だって鳴りはしませんでした」
魔都 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
京町の交番に新任のお巡査まわりさん——もっとも、角海老かどえびとかのお職が命まで打込んで、あがり藤の金紋のついた手車で、楽屋入をさせたという、新派の立女形たておやま、二枚目を兼ねた藤沢浅次郎に
開扉一妖帖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
するとお巡査まわりさんは、こわい眼で、私達をにらみながら
納豆合戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
往来の人々は何事だろうと驚きましたが、間もなく春夫さんは通りかかったお巡査まわりさんに巾着ごと押えられてしまいました。
クチマネ (新字新仮名) / 夢野久作海若藍平(著)
おばさんみたいに、お巡査まわりさんや刑事さんの月給から小利息をしぼったり、輪切りにするお大根を三角に切って何厘ちがうか考えてみたり、そうして一円紙幣さつの裏打を
かんかん虫は唄う (新字新仮名) / 吉川英治(著)
巡査まわり様が階子はしごさして、天井裏へ瓦斯がすけて這込はいこまっしゃる拍子に、洋刀サアベルこじりあがってさかさまになったが抜けたで、下に居た饂飩うどん屋の大面おおづらをちょん切って、鼻柱怪我ァした、一枚外れている処だ。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
大勢にはどうしてもかなわなかったの……だって撃剣の上手なお巡査まわりさんなんか呼んで来て加勢させるんですもの。
狂人は笑う (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「あんまり吃驚びっくりしちまって、何だか、夢みたいな気がして仕様がない。あたしを縛りに来たお巡査まわりさんが、海後さんだったなんて、——ああ、これで死んでもいい!」
旗岡巡査 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おまけに叔父さんの死骸しがいに引っかかってドタンと尻餅を突いたお蔭で逃げ損って、そのお巡査まわりさんに押え付けられてしまったのよ。デモ面白かったわ。ホホホホホホ……。
狂人は笑う (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「……あ。下に来ているお巡査まわりさん達の声でしょう。何かまた、いっていますよ。海後さん、あなたの御迷惑になるといけませんから、もう、話はよしましょう。いくら話したって、尽きませんものね」
旗岡巡査 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ジロジロ二人の様子を見ていたお巡査まわりさんは
クチマネ (新字新仮名) / 夢野久作海若藍平(著)