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巖穴
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いはあな
其處で
各自が、かの
親不知、
子不知の
浪を、
巖穴へ
逃げる
状で、
衝と
入つては
颯と
出つゝ、
勝手許、
居室などの
火を
消して、
用心して、それに
第一たしなんだのは、
足袋と
穿もので、
驚破
また
思ふ
釣船の
海人の子を、
巖穴に
隱ろふ蟹を
しろ/″\と
霜柱のやうに
冷たく
並んで、
硝子火屋は、
崖の
巖穴に
一ツ
一ツ
窓を
開けた
風情に
見えて、ばつたり、
燈が
消えたあとを、
目の
屆く、どれも
是も、
靄を
噛んで、
吸ひ
溜め
吸ひ
溜め