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巌畳
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がんじょう
ふりがな文庫
“
巌畳
(
がんじょう
)” の例文
三間巾の海水堀、高い厚い
巌畳
(
がんじょう
)
な土塀、土塀の
内側
(
うちがわ
)
の茂った喬木、昼間見てさえなかの様子は、見る事が出来ないといわれていた。
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
出はいりなく平らに、層一層と列をととのえ、雲までとどかせるつもりの
方尖碑
(
オベリスク
)
の
巌畳
(
がんじょう
)
な
礎
(
いしずえ
)
でもあるかのような観を呈した。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
恐ろしく
巌畳
(
がんじょう
)
なアーチ形に出来た家々の門の前には遅く帰った人達が立って、
呼鈴
(
よびりん
)
の引金を鳴らしていた。
家番
(
やばん
)
もぐっすり寝込んだ時分であった。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
小虎の鋭い叫びと殆ど同時に、
巌畳
(
がんじょう
)
に
綯
(
な
)
ってある藤蔓縄が、ぷつりと
断
(
き
)
れた。小虎は水音凄まじく新利根の堀割に落ちた。竜次郎の驚きは絶頂に達した。
死剣と生縄
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
馬鹿固い
英吉利
(
イギリス
)
の人の仕事だけに、
巌畳
(
がんじょう
)
な点は可笑しいほど巌畳を極めたものに相違ないけれど、要するに、送る途中だけ用に足りればいいのだから、第一
踊る地平線:12 海のモザイク
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
▼ もっと見る
栄太の死体が納豆売りの注進によって発見されたのは、今日の引明けで、表土間の血溜りから小僧が不審を起したのであった。家は
内部
(
なか
)
から
巌畳
(
がんじょう
)
に戸締りがしてあった。
釘抜藤吉捕物覚書:01 のの字の刀痕
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
硝子の破れる音は彼もうつつに聞いて知っていたが、あんなに
巌畳
(
がんじょう
)
だったドアがこんなにまで破壊し尽されたことを昨夜少しも知らずにいたことが彼を気味わるがらせた。
恢復期
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
裏も表も、いつも門扉はかたく閉まったままで人の住んでいる気配もない家なのであるが、めずらしく、こういう声がして、
巌畳
(
がんじょう
)
な
手斧削
(
ちょうなけず
)
りの窓格子に、美しい顔が二つ並んだ。
篝火の女
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ロダンは花子の小さい、締まった体を、
無恰好
(
ぶかっこう
)
に結った高島田の
巓
(
いただき
)
から、白足袋に千代田草履を
穿
(
は
)
いた足の
尖
(
さき
)
まで、一目に領略するような見方をして、小さい
巌畳
(
がんじょう
)
な手を握った。
花子
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
それ等のアフォリズムは僕の気もちをいつか鉄のように
巌畳
(
がんじょう
)
にし出した。
歯車
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
巌畳
(
がんじょう
)
な支那の中年男が、
酸漿
(
ほおずき
)
のしぼんだようなものを何本となく
藁束
(
わらたば
)
に刺したのを肩へ担いで、
欠伸
(
あくび
)
みたいに大きくゆっくり口を開けるたんびに、円い太い声が
踊る地平線:01 踊る地平線
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
婆やの方へ行って若い時は百姓の仕事をしたこともあるという
巌畳
(
がんじょう
)
な身体へも取付けば、そこに居るか居ないか分らないほど静かな針医の娘を側に坐らせた節子の方へも行って取付いた。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
律師は
偏衫
(
へんさん
)
一つ身にまとって、なんの威儀をも
繕
(
つくろ
)
わず、常燈明の薄明りを背にして本堂の
階
(
はし
)
の上に立った。
丈
(
たけ
)
の高い
巌畳
(
がんじょう
)
な体と、眉のまだ黒い
廉張
(
かどば
)
った顔とが、
揺
(
ゆら
)
めく火に照らし出された。
山椒大夫
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
この
闘牛
(
トウロス
)
をいよいよ最後の運命地、市内の闘牛場へ運び入れるのがまた大変なさわぎだ。どこまでも猛獣という観念を尊重し、
巌畳
(
がんじょう
)
な
檻
(
おり
)
へ入れて特別仕立ての貨車で輸送する。
踊る地平線:07 血と砂の接吻
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
巌畳
(
がんじょう
)
な体格の女で、リモオジュから主婦の手伝いに巴里へ出て来たばかりの
頃
(
ころ
)
はいかにも田舎臭い娘であったが、その人がもう一度田舎の方へ帰って行く頃には見違えるほど巴里の風俗を学んで
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
九郎右衛門は自分の貰った銭で、三人が一口ずつでも
粥
(
かゆ
)
を
啜
(
すす
)
るようにしていた。四月の初に二人が本復すると、こん度は九郎右衛門が寝た。体は
巌畳
(
がんじょう
)
でも、年を取っているので、
容体
(
ようだい
)
が二人より悪い。
護持院原の敵討
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
巌
漢検準1級
部首:⼭
20画
畳
常用漢字
中学
部首:⽥
12画
“巌”で始まる語句
巌
巌丈
巌角
巌窟
巌乗
巌石
巌頭
巌谷小波
巌穴
巌山