岐路えだみち)” の例文
こうした場所と、身の上では、夜中よりも人目に立たない、しずか日南ひなたの隙を計って、岐路えだみちをあれからすぐ、桂谷へ行くと、浄行寺じょうぎょうじと云う門徒宗が男の寺。
みさごの鮨 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
予ハ東京駅ノ地下道ノ宏大ナノト岐路えだみちノ多イノニ驚カサレタ。出タノハ丸ノ内側ノ、中央口ニ近イ特別通路ノ外ノ御車寄みくるまよせデアッタ。自動車ガ二台待ッテイタ。
瘋癲老人日記 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
それに、館中の響がこの空間には異様にとどろいてきて、時折岐路えだみちではないかと思ったり、また、人声のようにも聴えたりして、胸を躍らすのもしばしばであった。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
更に狭い穴が有って岐路えだみちになって居る、見れば斜に上の方へ登るのである、何でも之に違いないと其の穴へ潜り入ったが、其の狭い事は全く筒の中を抜ける様で這って行く外はない
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
進むにつれて、岐路えだみちがなくなり、段々我々の進路がハッキリして来た。
白髪鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
ましてその間には迷い易い幾筋もの岐路えだみちがある。
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
岐路えだみち
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
場所は——前記のは、桂川かつらがわのぼる、大師だいしの奥の院へ行く本道と、渓流を隔てた、川堤の岐路えだみちだった。
若菜のうち (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
斯かる問答は岐路えだみちと知りつつも
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
話は岐路えだみちになりますけれども、勉強はしたいものですわね、そのお小僧さんは、ずッと学問を、お通しなすって、いまでは博士で、どこのか大学の校長さんでいなさるそうです。
ふもと岐路えだみちを、天秤てんびんで、てくてくで、路傍みちばたの木の葉がね、あれしょうの、いい女の、ぽうとなって少し唇の乾いたという容子ようすで、へりを白くして、日向ひなたにほかほかしていて、草も乾燥はしゃいで
唄立山心中一曲 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
麦稈帽むぎわらぼう鷲掴わしづかみに持添もちそへて、ひざまでの靴足袋くつたびに、革紐かはひもかたくかゞつて、赤靴あかぐつで、少々せう/\抜衣紋ぬきえもん背筋せすぢふくらまして——わかれとなればおたがひに、たふげ岐路えだみち悄乎しよんぼりつたのには——汽車きしやからこぼれて
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)