小女こむすめ)” の例文
山西はますますなれなれしく口をいた。小女こむすめは男の口から一歩進んだいざないを待っているかのように、体をしんなりとさして歩いた。
水魔 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
内職の片手間に、近所の小女こむすめに、姉が阪東を少々、祖母さんが宵はまちぐらいを教えていたから、豆煎は到来ものです。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
入口いりくち彼方あちらなが縁側えんがはで三にん小女こむすめすわつてその一人ひとり此方こちらいましも十七八の姉樣ねえさんかみつてもら最中さいちゆう
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
小女こむすめはその間を通って静かに茶店ちゃみせの方へ往った。山西は一けんばかりの距離を置いてゆっくりと、そしてあたりに注意して歩いた。
水魔 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
半分はんぶんえる土間どまでは二十四五のをんな手拭てぬぐひ姉樣ねえさまかぶりにしてあがりがまちに大盥おほだらひほどをけひか何物なにものかをふるひにかけて專念せんねんてい其桶そのをけまへに七ツ八ツの小女こむすめすわりこんで見物けんぶつしてるが
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
山西は堂の裏手の方へ走ったが、そこにも小女こむすめの姿は見えなかった。彼はまた噴水の処へ戻って来てその周囲まわりを走るように探して歩いた。
水魔 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
その姉は早く夫に死なれて一人のむすめを伴れてやもめぐらしをしていたが、これも病気になって秋の陽の入るように寂寞として死んで往った。姉の子はフジと云ってその時十二三歳の小女こむすめであった。
一緒に歩く亡霊 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
やがて新一を放して小女こむすめのように顔に袖をやって泣き泣き往ってしまった。
狐の手帳 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
そこへ十六七になるらしい、小供小供した小女こむすめが出て来た。
妖影 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「おや、おや、小女こむすめがいなくなった、何処へ往ったろう」
一緒に歩く亡霊 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
仙妃も酒を飲んで小女こむすめのようにはしゃぐことがあった。
賈后と小吏 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)