小博奕こばくち)” の例文
振り返ると、三十前後の、苦味走つた男、小博奕こばくちから小格子あさり、渡り中間の惡戯わるさは、ピンからキリまで卒業したらしい男です。
送りしが或日番町邊ばんちやうへん屋敷やしき中間部屋ちうげんべや小博奕こばくちありて不※ふと立入しに思ひの外利運りうんを得たりもとよりこのむ道なれば其後は彼方此方と博奕場ばくちば
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
外国人のハリソンにもお膳を据える。いやもう乱脈でお話になりません。国蔵は小博奕こばくちなぞを打つ奴で、甚八もおなじ仲間です。
半七捕物帳:59 蟹のお角 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
丹三が、折助部屋に集まっている小博奕こばくち打ちをまとめて跡を追う。が、丹三は陰に隠れていて、他の連中だけが女を取り巻く。
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
小博奕こばくちで送られて来たという金太には、さぞたまらない誘惑だったろう、その音を聞くたびに、躯ぜんたいでいまにものめり込みそうにみえた。
さぶ (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
それなら打明けてお話申しますが此の間松村で一寸ちょっと小博奕こばくちへ手を出して居るとだしぬけに御用と云うのでバラ/\逃げて入江の用水の中へ這入って
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
戴くには、間があるようでございます。そりゃアあなた稼業がら、小博奕こばくちぐらいは打ちますが、それとてほんの時々で……オイ後棒、おめえもあやまれ
剣侠受難 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
楊柳やなぎの蔭には、小博奕こばくちに群れているのやら、寝ている者、欠伸あくびしている者、さまざまだった。漁船の舟かずは百隻をこえようか、それがみんな岸に繋いである。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
由さんは若いころ小博奕こばくちに凝って、横須賀のなんとか親分の身内になり、銀せの木刀を腰に差し、テラ箱を担いで田浦衣笠の辺を走りまわったこともあったそうで
春の山 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
世間のうわさが私の耳にも入ります。人もあろうに、小博奕こばくち渡世とせいにしている、安やくざとねんごろになっては、娘の一生も台なしでございましょう。
「まさか、胡麻ごまはえじゃあるめえ」と、半七はまた笑った。「小博奕こばくちでも打つぐらいの奴なら、旅籠屋へきて別に悪いこともしねえだろう。道楽者は却って神妙なものだ」
半七捕物帳:14 山祝いの夜 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
ムヽ今けえった、誰だせいさんか、今帰ったが、まつで詰らねえ小博奕こばくちへ手を出して打って居ると、突然だしぬけに手が這入へえって、一生懸命に逃げたが、仕様がねえから用水の中へ這入って
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
五十前後、分別盛りといふ年輩ですが、小博奕こばくちが好きで身が持てなかつたと言ふだけに、何となく、人へのしかゝつて來るやうな氣の強さうな男です。
弟の伊八という奴も、兄貴と同じような道楽者で、小博奕こばくちなども打つといいますから、兄貴の死んだのを幸いに、おふくろと一緒になってどんな芝居でもやりかねません。
真鬼偽鬼 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
是は土手下の甚藏じんぞうと云う悪漢わるもの、只今小博奕こばくちをして居る処へ突然いきなり手が這入り、其処そこくゞり抜けたが、烈しく追手おってが掛りますから、用水の中を潜り抜けてボサッカの中へ小さくなって居る処へ
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
五十前後、分別盛りという年輩ですが、小博奕こばくちが好きで身が持てなかったと言うだけに、何となく、人へのしかかって来るような気の強そうな男です。
「以前は小博奕こばくちなどを打って、あまり評判のよくない男でございました」と、番頭は説明した。
半七捕物帳:28 雪達磨 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
人もあらうに、小博奕こばくちを渡世にしてゐる、安やくざとねんごろになつては、娘の一生も代なしでございませう。
小博奕こばくちぐらいは打つでしょうが、人間は正直者ですよ」と、兼松は答えた。「そこで、親分。今の話の様子じゃあ、ゆうべ此の辺で人間の死骸を運んだ奴があるらしゅうござんすね」
半七捕物帳:69 白蝶怪 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
三軒長屋が二つ、その一つは北の方にあつて、按摩あんまの年寄夫婦が一と組と、浪人波多野虎記とらきと、小博奕こばくち
実は小博奕こばくちなどを打っている無頼漢ならずものであることを半七は知っていた。
半七捕物帳:13 弁天娘 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
小博奕こばくちを打つといふ持て餘し者の六郎が兄の死んだ後、この家へ入り込んで來て、支配人の佐吉や、をひの金之丞がイヤな顏をする中に、我儘一杯に振舞つて居ることは
「詳しくにもざつにも、これつきりですよ。村のあぶれ者で、小博奕こばくち強請ゆすりを渡世のやうにしてゐる照吉と伊太郎といふのが、尾久の土手で斬られて、ひどい死樣で——」
「詳しくにもざつにも、これっきりですよ。村のあぶれ者で、小博奕こばくち強請ゆすりを渡世のようにしている照吉と伊太郎というのが、尾久の土手で斬られて、ひどい死に様で——」
これは自棄やけ小博奕こばくちに夜明しをしたと解って——途中で抜出して、お徳を殺す時間があったかも知れないにしても、一応は疑いの外に置かれ、隣家の屑屋清吉は、一番不利な立場に陥って
小博奕こばくちと押借の外にはのうの無い男ですが、恰好がちよいと意氣なのと、顏がノツペリして居るのを資本に、神田から本郷へかけて、浮氣な娘といふ娘をあさり廻り、宇治川の先陣爭ひにたとへて
此野郎はつばめに夢中で、小博奕こばくちの味一つ知らないといふ變り者ですよ。何をするかと思ふと、火鉢の灰をならして、火箸ひばしで、つばめ、つばめ、つばめと假名文字の千文字を書いて、ホーツと溜息を