)” の例文
旧字:
世の物語に天狗のカゲマとふことありて、ここかしこに勾引こういんさるゝあり。或は妙義山にて行かれてやっことなり、或は讃岐さぬきの杉本坊の客となりしとも云ふ。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
わづかに原詩「牀前」の「前」字をつて一個「頭」字に易へ、而かも用ひ来つて直ちに天衣無縫の如し、云々」。
人これを見て野干既に獲物をち去ったとおもい退いた後、ゆっくり隠し置いた物を取り出し食うなど狡智百出す、故に仏教またアラビア譚等多くそのいつわり多きを述べ
小僧こばうずつて来し茶を上人自ら汲み玉ひてすゝめらるれば、二人とも勿体ながりて恐れ入りながら頂戴するを、左様遠慮されては言葉に角が取れいで話が丸う行かぬは
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
載籍以来の昔より今日並に今後迄一行に書きち去るべき歴史の本項なり。初生の人類より滴々血液を伝え来れる地球上譜牃の本系なり。之を人と云えば人なり。之を神と云えば神なり。
文士としての兆民先生 (新字新仮名) / 幸徳秋水(著)
或は立ち、或は坐し、或は臥す。而して皆裸にして寸縷すんる無し。堂上に一官坐す。其前に一大搾牀さくしやうを設く。健夫数輩、大鉄叉を執り、任意に男婦をつて槽内に叉置さちし、大石を用つて之を圧搾す。
鴉片 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
作者、評していわく「錯をって錯に就く」
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
米獅ピューマこれを徳とし産後外出して獣をち来て肉を子供と彼女に分ちくれたので餓死を免がれた、そのうちインディアンが彼女をいけどり、種々難儀な目に遭わせたが
最も著しき一事はその前肢甚だ短き事でこれは長く四ツ這いのみしあるきしに因るだろうという、最初この児捕われた時一牝狼のしかばねとその子二疋とともに裁判庁へきた
マーバールでは肉と煮米にこめかしいで食すから、馬が皆絶える、またいかない馬をち来るも産まるる子は詰まらぬものばかり、さてこの地本来馬を産せず、アラビヤ辺の商人
亭主かねて予の気短きを知れば、給仕人が聞き違うた体に言いし、皿を引きて去らんとするを気の毒がり、浜口氏が自分引き取りて食べ試みると奇妙にうまいとて、予に半分くれた。
羅摩泥(ラーヴァナ)私陀(シタ)をち去り羅摩(ラーマ)還って将ち来るに一女の故に十八がい(今いう百八十億)の多数を殺し、また喧嘩けんかの事ばかり述べあるは至極詰まらぬとあるより
不動使者を念誦ねんじゅして駆使せば、手を洗い楊枝ようじを取るほどの些事より、天に上り山に入るまで、即刻成就せしむ、天女をち来らしむるもたちまち得、何ぞいわんや人間界の人や物や飲食をやとあり。
王その計を用い、法に依りてこれを為すに、四人の跡、門より入るを見る、云々。王勇士数百人をって、刀を空中に振るわしめ、三人の首を斬る。王に近きこと七尺の内に、刀の至らざる所あり。