射殺いころ)” の例文
それから由蔵は、何かの異常に気がついて、此の天井裏に上ってみたが、逸早いちはやくそれと知った犯人のために、物蔭から吹矢で射殺いころされたに違いがない。
電気風呂の怪死事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
渠はしかくきながら暗中に葬り去られつ。良人を殺せし妻ながら、諸君請うじょせられよ。あえて日光をあびせてもてこの憐むべき貞婦を射殺いころすなかれ。
化銀杏 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
良兼の上兵多治良利たぢのよしとしは一挙に敵をほふらんと努力したが、運つたな射殺いころされたので、寄手はかへつて散〻になつて、命を落す者四十余人、可なり手痛き戦はしたが
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
「命があってはかえって後日の面倒、ものの見事に射殺いころして苦しうない、あとの責めは拙者が引受ける」
大菩薩峠:14 お銀様の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
大尉が、いかんいかん、と云つて手をふりますと、山烏はピカピカする拳銃ピストルを出していきなりずどんと大尉を射殺いころし、大尉はなめらかな黒い胸を張つて倒れかゝります。
烏の北斗七星 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
あのまま母は、妹は森のなかでおそろしいけものにくわれてしまい、にいさんのほうは子ジカになって、狩人かりゅうどたちに射殺いころされてしまったものとばかり思いこんでいました。
人々にこれこそあの怪賊だと思い込ませて、一思いに射殺いころしてしまう積りではなかったのか。
黄金仮面 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
そうなれば、何かにつけて便利だろうと考えたから——例えばもし、我々の大隠謀だいいんぼうが失敗に帰した場合彼等両名を射殺いころした上、書類を奪い取るのが彼の役になっていたのだから。
つゞいて「隊長殿。賊は抵抗するので、みんな射殺いころしました」と、言ひました。
ラマ塔の秘密 (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)
『それがですよ。多分、吉良様の若殿にちげえねえと思うんですが、半弓をこう持っていて、あっしの方へ、きりっと、向けたもんだ。射殺いころされちゃ堪らねえから、置いて逃げて来たんでさ』
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大王これをきこし召して、いささか心に恐れ給へば、佻々かるがるしくは他出そとでもしたまはず。さるをいま和主が、一ぜんもと射殺いころしたれば、わがためにうれいを去りしのみか、取不直とりもなおさず大王が、眼上めのうえこぶを払ひしに等し。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
大尉が、いかんいかん、と云って手をふりますと、山烏はピカピカする拳銃ピストルを出していきなりずどんと大尉を射殺いころし、大尉はなめらかな黒い胸を張ってたおれかかります。
烏の北斗七星 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
ぱたぱたと続いてかけつけた同じような服装ふくそうの人が五六人みな銃を手に握っている。この人たちのお蔭で、丁坊に喰いつこうと思って氷上に待っていた白熊が射殺いころされた。
大空魔艦 (新字新仮名) / 海野十三(著)
何が何だかわからねえうちに射殺いころしてしまおうというのは、あんまり乱暴だろうじゃねえか、第一、今日は八幡様へ流鏑馬の奉納、その日に神様の前で血を流すというのは不吉だろうじゃねえか
大菩薩峠:14 お銀様の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
退け、射殺いころすぞ。」
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
事もなく射殺いころしてん。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
射殺いころせ、突き殺せ」
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)