寸志すんし)” の例文
見ておどろきたるていなりしが其盜賊はまつたわたくしなりの者は御助おんたすけ下さるべしと申けるをきゝ伊兵衞は八にむかひ汝は我が先達さきだつて寸志すんしむくはんとて命をすてて我を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
些少さしょうながら、これに金三百円ありまするじゃ。百円はわしの寸志すんし、のお伴田さん、男子は何よりも気骨が大切じゃ。小さな事に有為な生涯を誤らないで、折角勉強して下さい」
自殺を買う話 (新字新仮名) / 橋本五郎(著)
かくてはその災害さいがいを待つにおなじくして本意ほんいに非ざれば、今より毎年寸志すんしまでの菲品ひひんていすべしとて、その後はぼんくれ衣物いぶつ金幣きんへい、或は予が特に嗜好しこうするところの数種をえておくられたり。
「いや、取紛とりまぎれて失念しつねんをしようとした。ほんの寸志すんしだよ。」
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
寸志すんしのおれいがいたしたいのですが。」
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
おぼめし親の慈悲じひこそ有難けれど又今更に有難涙忠兵衞こゝろ面目めんぼくなく御浪人なるお身の上を輕視かろしめかくと申すにあらねど主人が寸志すんしを其儘に申し述しが支度金とお見做みなしありては面目なくことにおたしなみの大金を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)