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寐臺
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ねだい
彼は
苦しさに
胸の
邊を
掻き
毟り、
病院服も、シヤツも、ぴり/\と
引裂くので
有つたが、
施て
其儘氣絶して
寐臺の
上に
倒れて
了つた。
が
忽ち、
何か
恐しい
事でも
急に
思ひ
出したかのやうに、
彼は
頭を
抱へるなり、
院長の
方へくるりと
背を
向けて、
寐臺の
上に
横になつた。
日は
已に
沒した。イワン、デミトリチは
顏を
枕に
埋めて
寐臺の
上に
横になつてゐる。
中風患者は
何か
悲しさうに
靜に
泣きながら、
唇を
動かしてゐる。