密夫みっぷ)” の例文
茲まで考え来るときは倉子に密夫みっぷあるぞとは何人なんびとにもしらるゝならん、密夫にあらで誰が又倉子が身に我所天おっとよりも大切ならんや
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
心の闇に迷いまして一通りの間違いではない、原丹治と密通をいたし、現在の娘をそゝのかしておのれ密夫みっぷせがれ丹三郎と密通させ
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
まるでむかしの人情本にでもありそうな密夫みっぷの行動が、重吉には久しくれた夫婦同棲どうせいの生活とは変って、また別種の新しい刺㦸しげきと興味とを催させるのであった。
ひかげの花 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
僕には母を母として愛さなければならんはずです、しかし僕は母が僕の父を瀕死ひんしきわに捨て、僕を瀕死の父の病床に捨てて、密夫みっぷと走ったことを思うと、言うべからざる怨恨えんこんの情が起るのです。
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
柳は夫半右衞門存生中ぞんじょうちゅう密夫みっぷを引入れ、姦通致せしかどばかりでも既に半右衞門の妻たる道を失ってる半右衞門において此の事を知ったならば軽うても離縁いたすであろう
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
あざむかれた男が密夫みっぷの隠れた戸棚を密閉して壁を塗って、その前で姦婦かんぷと酒を飲むはなしがある。
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)
兎に角自分のうちには羅紗緬類似の女は一人も居ません(荻)イヤサ家に居無くとも外へかこって有れば同じ事では無いか(大)イエ外へ囲って有れば決して此通りの犯罪は出来ません何故というまず外妾かこいものならば其密夫みっぷと何所で逢います(荻)何所とも極らぬけれどそう
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
即ち何不足なく驚愕安然あんぜんとしてられるのを有難く存じ奉る義と心得あるべからんに、密夫みっぷを引入れてからに、何うも酒肴さけさかなをとり引証いんしょうをするのみならず、安眠たる事は有るまからんと存奉候ぞんじたてまつりてそろ
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
男「此の始末はマア何う云うもんか、呆れて仕舞しもうたなア……僕が僅かに十日ばか東京とうけいに参って居た留守の間に、隠し男を引入れるとは実にしからん事じゃ……これ密夫みっぷ貴様は何処のもんじゃ」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
密夫みっぷの有る事を君知りませんかえ
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)