害心がいしん)” の例文
かゝるかたきが、植物界しょくぶつかいにも、人間界にんげんかいにも、つねぢんどって相鬪あひたゝかふ……仁心じんしん害心がいしんとが……しかうしてしいかたつときは、たちま毒蟲どくむし取附とりつかれて、その植物しょくぶつ枯果かれはつる。
と、夫は始めてあたしの害心がいしんに気がついた。しかし、そういう叫び声の終るか終らないうちに、彼の姿は地上から消えた。深い空井戸の中に転落していったのだ。
俘囚 (新字新仮名) / 海野十三(著)
なしあやまつて斯樣の時宜に立至りたる事なれば久八に害心がいしんなきはもとよりの儀に御座候依て私しより助命じよめい只管ひたすらねがひ上奉つり候と申立ければ越前守殿悉皆こと/″\打聞うちきかれ如何に其方久八が助命の儀を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
けれども、高坂は一見して、ただちに何ら害心がいしんのない者であることを認め得た。
薬草取 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ハッキリ眼がさめると同時に、悪戯いたずらか、害心がいしんか、この夜ふけに、そも何やつのしわざ? と、ぷッ! 一時に怒りを発した茨右近だ。頭上にかざした手へ釣糸を手繰たぐって、パアッ! 起ち上った。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
その方法てだてぢゃが……おゝ、害心がいしんよ、てもはやはひってをるなア、絶望ぜつばうしたものむねへは!……おもすはあの藥種屋やくしゅや……たしか此邊このあたりんでゐるはず……いつぞやをりは、襤褸つゞれ
スコール艇長は、ひげだらけの顔を上きげんにゆすぶりながら、上下左右へしきりに目をくばり、このロケットの構築こうちくぶりをほめるのであった。それは、かりそめにも害心がいしんのある人物に見えなかった。
怪星ガン (新字新仮名) / 海野十三(著)