安佚あんいつ)” の例文
一人ひとりは奪ひ取らんとし、一人は公務に就かんとし、一人は肉の快樂けらくに迷ひてこれに耽り、ひとりは安佚あんいつむさぼれる 七—九
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
安佚あんいつな大衆文芸家と云って悪ければ、自然主義以後の日本の各作家、と云っても悪ければ、日本伝来の文人気質
大衆文芸作法 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
三ヶにち與吉よきちきたな衣物きものてゝ、おつぎも近所きんじよかみうて炊事すゐじときでも餘所行よそゆき半纏はんてんたすきけてはたらいた。勘次かんじは三ヶにちさへ全然まる/\安佚あんいつむさぼつてはなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
それも二三ねんあひだ普通ふつう人間にんげんならばもう到底たうていやくにもたぬ年齡ねんれいたつしてるので、假令たとひかれ境遇きやうぐう安佚あんいつゆるさないためうして精神的せいしんてき健康けんかうたもたれてるのだとしても
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
そして明治維新、開港となりはじめて日本は数百年の怠惰安佚あんいつの眠りから覚めた。西洋の文物は続々として輸入され、封建的鎖国の殻を破った我が国は、忽ちにしてその風貌をあらため始めた。
大衆文芸作法 (新字新仮名) / 直木三十五(著)