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嫂
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ねえ
ふりがな文庫
“
嫂
(
ねえ
)” の例文
そのうえ
歯
(
とし
)
も周がうえであったから、成は周の細君を
嫂
(
ねえ
)
さんと呼んで尊敬し、季節季節にはかならず来て一家の人のようにしていた。
成仙
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
もし
嫂
(
ねえ
)
さん。使いだてしてお気の毒だが御輿を据えて、聞かざならねえことが出来やした。ここへ一合、付けて来ておくんなせえやし
曲亭馬琴
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
「後生ですわ、お
嫂
(
ねえ
)
さま。どうかわたしをかばってくださいまし。私を、もうそんなに苦しめないで、承知してくださいましな」
白蟻
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
「そんなに痛くっちゃ困るのね。
嫂
(
ねえ
)
さんはどうしたんでしょう。
昨日
(
きのう
)
の電話じゃ痛みも何にもないようなお話しだったのにね」
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「そう……そうすると、新さんの見たところじゃ、別段お
嫂
(
ねえ
)
さんと兄さんの間が、どうというふうにも、見えなえんだな?」
仁王門
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
▼ もっと見る
「……あ、
嫂
(
ねえ
)
さん。毎朝、顔を洗うのにお湯などはいりませんよ。こっちは兵隊だ、下宿人だ。打っちゃッといて下さい」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
現に隣の
嫂
(
ねえ
)
さんは娘時代に父無し児を生んだのを、家同志の情けから、その子をそんなにして
闇
(
やみ
)
に
葬
(
ほうむ
)
ってしまったのよ
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
「それにしても、おやじが死んだからって
嫂
(
ねえ
)
さんが出てくるっていうのも、どうも変だと思いますがね……」
父の出郷
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
嫂
(
ねえ
)
さんしようがないのと、間もなく戻って来たよしが、楮の手桶を土間に放り出すばかりにして寄ってきた。
和紙
(新字新仮名)
/
東野辺薫
(著)
私は、しょんぼりしてしまいました。スルメを落してがっかりするなんて、下品な事で恥ずかしいのですが、でも、私はそれをお
嫂
(
ねえ
)
さんにあげようと思っていたの。
雪の夜の話
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
咲子
嫂
(
ねえ
)
さまを離縁してお兄さまと千登世さまとに歸つていたゞけば萬事解決します。しかし、それでは大江の家として親族への義理、世間への手前がゆるしません。
業苦
(旧字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
出る時はほんとに極りが悪くて……
嫂
(
ねえ
)
さんには変な眼つきで視られる、お増には冷かされる、私はのぼせてしまいました。政夫さんは平気でいるから憎らしかったわ
野菊の墓
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
「
嫂
(
ねえ
)
さん、あなたの言うことは、ちっともわかりません、敵も味方も、恩も恨みもめちゃくちゃです」
大菩薩峠:29 年魚市の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「此間から聞かうと思つて居たのですが
嫂
(
ねえ
)
さんは下宿屋に賛成なのですか」と春三郎は聞いた。
続俳諧師:――文太郎の死――
(旧字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
いつでしたか、
夜分
(
やぶん
)
になって尋ねましたら、お
嫂
(
ねえ
)
さんはお留守です。まだ小さかった
類
(
るい
)
さんは病気で寝ていました。ちょっと話していますと、電話のベルが
頻
(
しき
)
りに鳴ります。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
家では
嫂
(
ねえ
)
さんが、米をついていた。牛が一匹優しい眼をして私を見ている。私は、どうしてもはいりたくなかったのだ。何だか、こんなところへ来た事さえも淋しくなっている。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
あなたは映画女優時代から人知れず恋していた
嫂
(
ねえ
)
さんに同情者のような顔をして、歓心を買い、あわよくば横取りしようと考えている時、運悪るくシベリアからお兄さんが帰還された。
恐怖の幻兵団員
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
「そりゃそうさ、お
嫂
(
ねえ
)
さんたらVにするなんて。そんなのないわ」
二人いるとき
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
「
嫂
(
ねえ
)
さんこんにちわ」と云いながら、お花は門の格子をあけた。
大捕物仙人壺
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「
嫂
(
ねえ
)
さん! 嫂さん。」と向うの室で葉子の呼ぶ声がした。
恩人
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
「
嫂
(
ねえ
)
さん、お銚子一本。」
女給
(新字新仮名)
/
細井和喜蔵
(著)
「それではお
嫂
(
ねえ
)
様、私に教えてちょうだい。そのお顔を柔らかにしてから、私がどうすればいいのか、教えてちょうだい」
白蟻
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
「兄さんは小林さんが兄さんの留守へ来て、
嫂
(
ねえ
)
さんに何か云やしないかって、
先刻
(
さっき
)
から心配しているじゃありませんか」
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
お母さんはあの通り、
確
(
しっ
)
かりもんには違いなえが、兄さんでもお
嫂
(
ねえ
)
さんでも、みんなと仲がええし……無理なことなんぞ、一言だっていわれる方ではなえ
仁王門
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
「いや、話し相手がないと、つい
武二
(
ぶじ
)
って奴あ、こういう顔になるんですよ。何も
嫂
(
ねえ
)
さんのせいじゃない」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「兄さんがいなくなった後で、盗賊が入って、
嫂
(
ねえ
)
さんを殺して、
腸
(
はらわた
)
を
刳
(
えぐ
)
って逃げたのですが、じつに
惨酷
(
ざんこく
)
な殺しかたでしたよ。だが、それがまだ
捕
(
つかま
)
らないです。」
成仙
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
一昨日ほとんどだしぬけに
嫂
(
ねえ
)
さんところへ行ってすぐ夜汽車で来るつもりだったんでしょうがね、夜汽車は都合がわるいと止められたんで、一昨日の晩は嫂さんところへ泊って
父の出郷
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
「照ちやんがあの體で無理をしてだん/\惡くなつても困るし、どうせ
嫂
(
ねえ
)
さんも早いか晩いか來ねばならぬのだから、一つ至急に歸郷して家族を纒めて來うかと思ふが、どうであらう」
続俳諧師:――文太郎の死――
(旧字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
「
嫂
(
ねえ
)
さん、も一つ
弾
(
ひ
)
いて頂戴な。」と葉子がせがんだ。
恩人
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
「
嫂
(
ねえ
)
さん、あなたは無事だったのですか」
大菩薩峠:29 年魚市の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そりゃ御約束した事ですから、
嫂
(
ねえ
)
さんについて、あの時の
一部始終
(
いちぶしじゅう
)
を今ここで御話してもいっこう
差支
(
さしつか
)
えありません。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ねえお
嫂
(
ねえ
)
さま、もうこの
谿間
(
たにあい
)
に来てしまった以上は、なんと云っても、遠い別世界の話なんでございますからね。どうか、お怒りにならないでくださいましな。
白蟻
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
どうかあっしの留守中は、人の
騙
(
だま
)
しに乗ったり、人のダシに使われないように、気をつけておくんなさいよ。……また
嫂
(
ねえ
)
さんへもだ。どうぞお願い申しますぜ。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
嫂
(
ねえ
)
さん!」と堪りかねて私は夢中で嫂の手から座蒲団をひったくり取った。「何をしているんです! だれがいるんです! だれもいやしないじゃありませんか!」
逗子物語
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
下宿屋を讓受けるのももう半月許り後の事だが、早々多勢の子供を連れて出掛けるより、子供と
嫂
(
ねえ
)
さんは今暫時國許へ置いて己は單身で上京して三四ヶ月は一人で遣つて見る積りで居る。
続俳諧師:――文太郎の死――
(旧字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
「いいわ、
嫂
(
ねえ
)
さんに云いつけるから。」
恩人
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
「黙りません。云うだけの事は云います。兄さんは
嫂
(
ねえ
)
さんに自由にされています。お父さんや、お母さんや、私などよりも嫂さんを大事にしています」
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「何だって、そんなに人を馬鹿にするんです。これでも私はあなたの妹です。
嫂
(
ねえ
)
さんはいくらあなたが
贔屓
(
ひいき
)
にしたって、もともと他人じゃありませんか」
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「じゃ兄さんも早くお嫁を
貰
(
もら
)
って独立したら好いでしょう。その方が妾が結婚するよりいくら親孝行になるか知れやしない。厭に
嫂
(
ねえ
)
さんの肩ばかり持って……」
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
嫂
漢検1級
部首:⼥
12画
“嫂”を含む語句
家嫂
嫂様
嫂上
単四嫂子
單四嫂子
大嫂
嫂君
嫂子
嫂殺
楊二嫂
母大虫顧大嫂
鄒七嫂
阿嫂