)” の例文
家康は二女の徳姫を、氏直へる約束にも承諾した。和と婚と分領ぶんりょうと、三こう一約のもとに、相互、十二月中に軍を退くことになっていた。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
どちらとも彼奴あいつの返事をお聞き下さい。あるいは、自分、妙を欲しいではないが、ほかなら知らず河野へはっちゃ不可いかん、と云えば、私もおことわりだ。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
両人の関係を承知の上で、大谷伯爵が自分の愛嬢まなむすめを小田切氏にった。この結婚がまた噂の種になった。
情鬼 (新字新仮名) / 大倉燁子(著)
山川の家では、女子を社会事業家と教育家にって、姻戚関係をその方面にもつ方法をとった。
蝶の絵 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
此上は山木のむすめは何事があるとも、必ず松島へらねば、我輩の名誉にかゝはるわい
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
かえって思いきらせるには好いからって魂胆でったんだって言いますものね。
一世お鯉 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
処でおらの旦那がお世辞半分に新聞記者の天職をさかんなりと褒めて娘も新聞記者につもりだと戯謔面からかひづら煽動おだてたから、先生グツト乗気になつて早やむこ君に成済なりすましたやうな気で毎日入浸いりびたつてゐる。
犬物語 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
「第一、僧が妻帯するなどということは、法外もない沙汰じゃ。それへ、末姫すえむすめりなどしたら、月輪の一門は、気が狂うたかとわらわれよう」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そんな男のところへれないと、ひと言できまりをつけるのだろうことはわかっている。
西林図 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
五銭十銭と取りに来る……月末つきずえの工賃はね、嫁入支度に預るいうて洗いざらい持って行って、——さあ、いやでも応でも今の亭主へるというと、それこそ、ほんに、抱えるほどな
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ろうとつい仰っしゃったものと見えますが——今も申した通りの次第で、寧子は断じてあなたの妻にはなりません
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一門一家いちもんいっけの繁昌を企むような、ソンな勘作のとこへお嬢さんをられるもんか。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
愛娘のむこというのは、その賊将の弟分と称する周通しゅうつうという者で、もとよりこっちから、るといったわけではない。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
な、なにを、そちまでが、たわけたことを云うかっ。——佐殿とは、そも何者か、弁えてものを申せ。六波羅の罪人、配所の流人、そんなものに、この時政のむすめがれるか。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)