婆々ばゞ)” の例文
「いやだ! いやだ! またあの氣違ひ婆々ばゞアに」と、義雄の本妻のことを云つて、「いろんなことを云はれるばかりぢや!」
泡鳴五部作:05 憑き物 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
われらはげしき大都会だいとくわい色彩しきさいながむるもの、奥州辺おうしうへん物語ものがたりみ、婦人ふじん想像さうざうするに、大方おほかた安達あだちはら婆々ばゞおもひ、もつぺ穿きたるあねえをおもひ、こんふんどし媽々かゝあをおもふ。
甲冑堂 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
婆々ばゞは奥より乳児ちのみごを抱いて参る。
じつ六十幾歳ろくじふいくさい婆々ばゞで、かもじをみだし、しろぬのを裸身はだかみいた。——背中せなかに、引剥ひつぺがした黒塀くろべいいた一枚いちまい背負しよつてる。それ、トくるりと背後うしろきさへすれば、立處たちどころ暗夜やみ人目ひとめえたのである。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
やま婆々ばゞ白髪しらがのやうに、すく/\といたうはさぬ。』
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)