如此かくのごと)” の例文
かつ如此かくのごとき事をこゝろみし事なし、こゝろみてそのはなは馬鹿気ばかげきつたる事をみとめたれば全然ぜん/\之を放棄はうきせり、みちおこなことみちく事なり
問答二三 (新字旧仮名) / 内村鑑三(著)
恩人は恩をかせ如此かくのごとせまれども、我はこの枷の為に屈せらるべきも、彼は如何いかなるをのを以てか宮の愛をば割かんとすらん。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
自分は如此かくのごとく直覚する。貞操の起原は男子の威圧からである。女子にあっては本来被動的うけみのものである。
私の貞操観 (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
館内のの新しい絵には巴里パリイのサロンに出品して政府に買上られた物が多かつた。仏蘭西フランス政府は年ごとに買上げたサロンの絵を如此かくのごとくして各地の博物館に分配するらしい。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
如此かくのごとき社会においては年々歳々人相異るも年々歳々事相同じであって、個人の批評性と創造力とはほとんど萎縮し、人は制度の奴隷となって、民衆は元気なく空気は沈滞し
流れ行く歴史の動力 (新字新仮名) / 津田左右吉(著)
單に如此かくのごときに過ぎずとせば、吾人豈失望せざるを得んや。
トルストイ翁論文 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
信ジテ以テ悉ク己ノ心ニ得タリト為シダ一ニ書ヲ是レ信ジテ之ヲ心ニ考ヘザレバ則点一ニ帰スルナク貿貿乎トシテ霧中ニ在リ遂ニ植学ヲ修ムル所以ノ旨ニ反シテ其書ノ駆役スル所トナリ其身ヲ終テ後世ニ益スルナシ是レ書ヲ以テ我ノ家屋ト為スノ弊タルノミ如此かくのごとクナラザル者ハ之ヲ心ニ考ヘ心ニ徴シテ書ニ参シ必シモ書ノ所説ヲ
彼はおのれ今日こんにちあるを致せし辛抱と苦労とは、いま如此かくのごとくにして足るものならずとて、しばしばその例を挙げては貫一を𠹤そそのかし、飽くまで彼の意を強うせんとつとめき。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
自分は如此かくのごとく信じます。これ等の固有の美質を堅く貯へて持続する婦人の多数を有して居る以上、仏蘭西フランス婦人の将来、いな仏蘭西フランス人全体の将来はます/\光栄と幸福とに富んで居ると。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
……如此かくのごとく今日の社会においては所詮実行不可能な理想を要求し、結婚年齢にある婦人を、健康な子供を産み得る婦人を、生涯もしくは長期間、独身者として労働市場に置こうとすることは
平塚さんと私の論争 (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
あるじは彼の為人ひととなりを知りしのち如此かくのごとき人の如何いかにして高利貸などや志せると疑ひしなり、貫一はおのれの履歴をいつはりて、如何なる失望の極身をこれにおとせしかを告げざるなりき。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
翁は日本の三十一音から成るタンカを知つて居て「今もなほ如此かくのごとき素朴な詩の作られるのは懐かしい」と云ひ、その装幀さうていの美をめて「これが自分の書斎へ来た最初の日本の出版物だ」
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)