大殿おほとの)” の例文
「やすみしし吾大王おほきみ、高耀ひか皇子みこきいます大殿おほとのの上に、ひさかたの天伝あまづたひ来る、雪じもの往きかよひつつ、いや常世とこよまで」
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
よりて以て盟ひてのたまはく、若しちかひたがはば、たちまちに朕が身をうしなはむ。皇后の盟ひたまふことた天皇の如し。丙戌ひのえいぬ車駕すめらみこと宮にかへり給ふ。己丑つちのとうし、六皇子共に天皇を大殿おほとのの前に拝みたまふ。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
ちつとばかり西洋医せいやうい真似事まねごともいたしますが、矢張やはり大殿おほとの御隠居様杯ごいんきよさまなどは、水薬みづぐすりいやだとおつしやるから、已前まへ煎薬せんやくげるので、相変あひかはらずお出入でいりいたしてる、ところ這囘このたび多分たぶんのお手当てあてあづか
八百屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
蘭軒第十七回忌の時は、陶後は六十八歳で、大殿おほとの正寧附上下格まさやすづきかみしもかく奥勤であつた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
大殿おほとのほりは広らと水照みでりして内なる池の鴨むらも見ゆ
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)