夜駕籠よかご)” の例文
まず画面の下部に長き橋梁きょうりょうななめよこたはらしめよ、しかして淋しき夜駕籠よかご頬冠ほおかむりの人の往来ゆききを見せ、見晴らす水面すいめんの右のかたには夜の佃島を雲の如く浮ばせ
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
かたりでも爲せしか御奉行所へ明日召連罷り出る樣にと御差紙さしがみ到來たうらいし誠に我等迷惑めいわく至極しごくなり然れば夜駕籠よかごなど舁者かくものを店へはおかれぬと申をきゝ權三は大にはら
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
八百万やおまんの若い者や、角の夜駕籠よかごかきや、町内のばくち打ちなどの威勢のいい連中が、めいめい獲物をふりかざして、和泉屋に頼まれて警戒に来ていた他町の鳶の者と渡り合っていた。
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)
斯て彦三郎は木蔭こかげかくれ居る處に夜駕籠よかごもどりと見えて一人は挑灯ちやうちんを持一人は駕籠かごかつぎ小便を爲ながら何と助十去年きよねん此所このところ獄門ごくもんに懸つた小間物屋彦兵衞那れは大きな間違まちがひ隱居を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
どの船からという事もなく幽暗なる半月はんげつの光に漂い聞ゆる男女が私語ささやきの声は、折々向河岸むこうがしなるしいの木屋敷の塀外へいそとからかすかに夜駕籠よかごの掛声を吹送って来る川風に得もいわれぬ匂袋においぶくろを伴わせ
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)