なげき)” の例文
たまたま苦労らしいなげきらしい事があっても、己はそれをかんがえの力で分析してしまって、色のめた気の抜けた物にしてしまったのだ。
ような事でもお力になりましょう、あなたが軽はずみな事をなすって下さいますと、跡のものゝなげきは如何ばかりか知れません、兎も角も
斯かるなげきを見參らする小子それがしが胸の苦しさは喩ふるに物もなけれども、所詮浮世と觀じては、一切の望に離れし我心、今は返さんすべもなし、忠孝の道、君父の恩、時頼何としておろそかに存じ候べき。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
たゝいくれぬかと言れてハイと答へながら押入あけて取出す蒲團は薄き物ながら恩いと厚き父親てゝおやに我身の上より苦勞を掛けだ此上にもおなげきを掛る不孝の勿體もつたいなさと口には言ねど心の中思ひつゞけて蒲團を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
衆人おの/\懷郷のなげきに堪へず、悲めり。
イーリアス:03 イーリアス (旧字旧仮名) / ホーマー(著)
陰濕いんしつの「なげき」の窓をしも、かく
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
みづのやはらかきにほひのなげき
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
あゝ緑葉のなげきをぞ
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
己は何日いつもはっきり意識してもいず、また丸で無意識でもいず、浅いたのしみ小さいなげきに日を送って、己の生涯は丁度半分はまだ分らず、半分はもう分らなくなって
長き夜をめしひの「なげき」かすかに
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
ついぞ誠のなげきにこの体をゆすられた事は無い。ついぞ一人で啜泣すすりなきをしながら寂しい道を歩いた事はない。