-
トップ
>
-
向脛
>
-
むかはぎ
吼ゆる
荒熊と一しょにも
繋がれう、
墓の
中にも
幽閉められう、から/\と
鳴る
骸骨や
穢い
臭い
向脛や
黄ばんだ
頤のない
髑髏が
夜々掩ひ
被らうと。
と雲の峰の下に、
膚脱、
裸体の膨れた胸、
大な乳、
肥った
臀を、若い奴が、
鞭を振って追廻す——
爪立つ、走る、
緋の、白の、
股、
向脛を、
刎上げ、
薙伏せ、
挫ぐばかりに狩立てる。
都べへ立たむ日近し菱売の
向脛黒く秋づきにけり
捏でも動かぬに
困じ果てて、すっぱすっぱ
煙草を吹かすやら、お前様、
嚔をするやら、
向脛へ
集る蚊を
踵で
揉殺すやら、泥に酔った
大鮫のような嘉吉を、浪打際に
押取巻いて、小田原
評定。