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口上
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こうじよう
己れが
映し
人で
横町の三五
郎に
口上を
言はせよう、
美登利さん
夫れにしないかと
言へば、あゝ
夫れは
面白からう、三ちやんの
口上ならば
誰れも
笑はずには
居られまい
藏を
持ぬしに
返し
長途の
重荷を
人にゆづりて、
我れは
此東京を十
年も二十
年も
今すこしも
離れがたき
思ひ、そは
何故と
問ふ
人のあらば
切りぬけ
立派に
言ひわけの
口上もあらんなれど
稀に
逢ひたる
嬉しさに
左のみは
心も付かざりしが、
聟よりの
言傳とて
何一
言の
口上もなく、
無理に
笑顏は
作りながら
底に
萎れし
處のあるは
何か
子細のなくては
叶はず、
父親は
机の
上の
置時計を
眺めて