かう)” の例文
旧字:
彼は世を教へんとて、世を救はんとて著作をなせり、然れども著作の真意すでに誤りたれば、世の人はさておき、己れをやすむるのかうもあらず。
トルストイ伯 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
我々は新聞紙の一隅に「長束正家儀、永々病気の処、薬石やくせきかう無く」と云ふ広告を見ても、格別気の毒とは思ひさうもない。
僻見 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
解熱げねつかうあるその光、今夜こんやここへもさして來て
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
ひそかにうかゞふに何事もなしさて不審ふしんとは心に思へど色にもあらはさずすでに其夜も五ツ時と思ふころ毒藥どくやくかう總身そうしんに廻り感應院はにはかに七てんたうしてくるしみ出せば寶澤はさもおどろきたる體にてなきながらまづ近所の者へ知せける土地ところの者共おどろあわ早速さつそく名主なぬしへ知せければ名主も駈付かけつけ醫者いしやくすりさわぎしに全く食滯しよくたいならんなど云まゝ寶澤は心には
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)