冥護みょうご)” の例文
千本の中には一本や二本、日本にほんの土地へも着きそうなものじゃ。ほんとうに冥護みょうごを信ずるならば、たった一本流すがい。
俊寛 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
まことに、仏天ぶってん冥護みょうごならんと、その折も、孔雀明王くじゃくみょうおう御壇みだんに、われら、いかばかり謝し奉ったことかしれませぬ
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
神の冥護みょうごかしらいただき愛のほのおを胸に貯え驀地まっしぐらに前へ進まれるがよい。梶は老人がとり申そう。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
舳櫓ともろ船子ふなこは海上鎮護ちんごの神の御声みこえに気をふるい、やにわにをば立直して、曳々えいえい声をげてしければ、船は難無なんな風波ふうはしのぎて、今は我物なり、大権現だいごんげん冥護みょうごはあるぞ、と船子ふなこはたちまち力を得て
取舵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ただ神仏は商人のように、金銭では冥護みょうごを御売りにならぬ。じゃから祭文さいもんを読む。香火をそなえる。このうしろの山なぞには、姿のい松が沢山あったが、皆康頼にられてしもうた。
俊寛 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
あれがうわさうけたまわった南蛮なんばん如来にょらいでございますか? せがれの命さえ助かりますれば、わたくしはあの磔仏はりきぼとけに一生つかえるのもかまいません。どうか冥護みょうごを賜るように御祈祷をお捧げ下さいまし。
おしの (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)