先箱さきばこ)” の例文
乗り物、先箱さきばこ台傘だいがさで、この新住職が吉左衛門きちざえもんの家を出ようとすると、それを見ようとする村の子供たちはぞろぞろ寺の道までついて来た。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
よせ巳刻よつの太鼓を相待處へつゐ先箱さきばこ天鵞絨びろうど袋入ふくろいりの立傘等を持ち緋網代ひあじろ乘物のりものにて可睡齋城門へ乘込のりこみ來るゆゑ門番人下座を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
旅姿の松雲はそのまま山門をくぐらずに、まず本陣の玄関に着き、半蔵が家の一室で法衣装束しょうぞくに着かえ、それから乗り物、先箱さきばこ台傘だいがさで万福寺にはいったのであった。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
掛け宰領さいりやう二人づつあとより麻上下あさがみしもにて股立もゝだちとりたるさむらひ一人是は御長持おながもちあづかりの役なりつゞいて金御紋きんごもん先箱さきばこ二ツ黒羽織くろはおり徒士かち八人煤竹すゝたけ羅紗らしやふくろに白くあふひの御紋を切貫きりぬき打物うちもの
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
奉り夫より御登城とじやうの御案内には伊豆守は勿論もちろん西の御丸へなほらせられ候節は酒井左衞門尉さゑもんのじようより御やり一筋獻上けんじやうつかまつり候事吉例きちれいに候へ共左衞門尉は在國ざいこく出羽鶴が岡にまかり在候に付名代みやうだいとして伊豆守より猿毛さるげの御やりすぢ獻上仕り候上樣よりは御祝儀しうぎとして御先箱さきばこ一ツ御打物うちもの一トふり右は雨天に候節は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)