仕出屋しだしや)” の例文
この辺に不思議なのは二軒ほども古い石屋の店のある事で、近頃になって目について増え出したのは天麩羅てんぷら仕出屋しだしやと魚屋とである。
監獄署の裏 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
それらの二階建の家に混って、大きな仕出屋しだしやがありました。大勢の男女が働いています。これは貸座敷ばかりへ食物を入れるので、ここらでは台屋だいやといいました。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
其奴そいつ引捕ひつとらへてれようと、海陸軍かいりくぐん志願しぐわんで、クライブでん三角術さんかくじゆつなどをかうじて連中れんぢうが、鐵骨てつこつあふぎ短刀たんたうなどを持參ぢさん夜更よふけまで詰懸つめかける、近所きんじよ仕出屋しだしやから自辨じべん兵糧ひやうらう取寄とりよせる
怪談女の輪 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
と、自転車に附けるラムプの借用を申し込んだが、「此れ持つて行きなはれ」と主人が奥から出して来てくれたのは、「魚崎町三好屋」と云ふ文字のある、何処かの仕出屋しだしやの古提灯であつた。
猫と庄造と二人のをんな (新字旧仮名) / 谷崎潤一郎(著)
白山はくさんに芸者家が出来たって云うはなしだがあの辺はどうだ。矢張やっぱり芸者家のある土地の方が仕出屋しだしやや何かの便利がきくからね。」
夏すがた (新字新仮名) / 永井荷風(著)
と、自転車に附けるラムプの借用を申し込んだが、「此れ持つて行きなはれ」と主人が奥から出して来てくれたのは、「魚崎町三好屋」と云ふ文字のある、何処どこかの仕出屋しだしや古提灯ふるぢょうちんであつた。
猫と庄造と二人のをんな (新字旧仮名) / 谷崎潤一郎(著)
道子みちこはアパートに出入でいりする仕出屋しだしやばあさんのすゝめるがまゝ、戦後せんご浅草あさくさ上野辺うへのへん裏町うらまち散在さんざいしてゐるあや旅館りよくわん料理屋れうりや出入でいりしておきやくりはじめた。
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
と、自転車に附けるラムプの借用を申し込んだが、「これ持って行きなはれ」と主人が奥から出して来てくれたのは、「魚崎町三好屋」と云う文字のある、何処どこかの仕出屋しだしや古提灯ふるぢょうちんであった。
猫と庄造と二人のおんな (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
さめやのおじさん。」と踊子たちは呼んでいるが、丼飯をつくる仕出屋しだしやで鮫屋などという家は、六区ろっくの興行町にも、公園外の入谷町いりやまち千束町せんぞくまち裏路地うらろじにもないそうだ。
勲章 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
蕎麦屋そばやもある。仕出屋しだしやもある。待合もある。
雪解 (新字新仮名) / 永井荷風(著)